「今年、ベリタスは攻めますよ」、ベリタス役員一堂の声
2004/2/13
ベリタスソフトウェア 代表取締役社長 木村裕之氏 |
ベリタスソフトウェアは2月10日、2004年度の事業方針を発表した。“ユーティリティ コンピューティングの実現戦略”と“攻めの営業”の2つがキーワード。ベリタスソフトウェア 代表取締役社長 木村裕之氏は2003年度を「新生ベリタス誕生の年」と位置付け、2004年度は同社の市場拡大戦略を実践していく年、とした。
確かに2003年度の同社は、3月にLinux対応を発表し、6月にAIX対応を発表、7月に米Precise Softwareを買収して、パフォーマンス管理製品を手中に収めるなど、市場拡大のための基礎作りに邁進(まいしん)した。社内体制も見直し、「パートナー営業」「エンタープライズ営業」「マーケティング」「技術」「テクニカルサービス」の5つの本部を木村氏の直轄としている。体制を一新し、営業の基礎固めを行った同社が狙うのが、“ユーティリティ コンピューティング”を実現するための製品、およびサービスを提供する体制を構築する、ということにあるのだが、問題はここでいう“ユーティリティ コンピューティング”という概念である。
IBMがオートノミック・コンピューティングといい、HPがアダプティプ・インフラストラクチャと主張し、サンがN1と叫ぶ概念と、ベリタスが標榜(ひょうぼう)する“ユーティリティ コンピューティング”には、技術的な背景を別にすれば、大きな違いはない。簡単にいえば、コンピューティング・リソースを水や電気のように使えるような環境ということである。
このような前提を背景に木村氏は、「真のユーティリティ コンピューティング環境を提供できるのは、ハードに依存しないベリタスだけだろう。ほかはすべてハードベンダばかりである」と話す。ベリタスのアプローチはデータのバックアップ、そしてデータ管理という観点からのものであり、ユーザー(企業)がITインフラ上で流通するデータを自由自在に使いこなすことができる環境を提供するのが同社のビジネスである。
木村氏の主張は間違ってはいないが、しかし、必ずしもハードベンダが木村氏のいう意味での“ユーティリティ コンピューティング”を実現できないかといえば、そうではない。標準化技術を完全に無視して製品開発を行っているIT企業はほとんどないといってよく、また異機種混在環境を想定していないベンダもないといっていい。IBM、HP、サン、NEC、富士通など、確かに1社でハードを始めとした環境をそろえることができるが、必ずしも1社限定の環境に頑強にこだわっているわけではない。そもそも、市場がそれだけを望んでいるわけではない。
ソフトウェア専業ベンダであるベリタスは、ハードウェアという言葉あるいはハードウェア・ビジネスというものに過度に敏感に反応する傾向がある(往々にしてソフトウェア専業ベンダは他社との差別化点をそこに見いだすが)。“ソフトウェア専業”がどの程度の優位性を持つのか。同社にとって“攻めの年”である2004年の状況を楽しみにしたい。
(編集局 谷古宇浩司)
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