[Network Computing 2004 Spring 開催]
「Solaris 10」「Java Desktop System」の正体が徐々に明らかに

2004/2/18

サン・マイクロシステムズ プロダクト & ソリューション・マーケティング本部 増月孝信氏

 「Solaris 10」が登場するのは2004年秋ごろとなりそうだ。現在、その新機能についてさまざまな場所で発表が行われているが、リリース時期についての目安は明らかにされていなかった。2月17日に都内で行われた「Network Computing 2004 Spring」(主催:サン・マイクロシステムズ)で公開された。現在は、テスト段階の“Software Express”が無償ダウンロードできる状態。月次で機能更新を行っているため、いち早く「Solaris 10」の機能を試したい技術者向けのバージョンである。なお、サポートは英語のみである。春ごろを目処に“β Testing”バージョンが一部の顧客向けに配布され、秋ごろに正式版リリースというスケジュールである。

 「Solaris 10」は600以上の新機能を追加、Ultra SPARC IVとAMDのOpteronをサポートする。新機能に関する最も重要な部分は「N1 Grid コンテナ」「セルフ・ヒーリング機能」「動的トレース機能(DTRACE)」「軍事レベルのセキュリティ」あたりだろう。「N1 Grid コンテナ」とは、OSレベルのパーティショニング機能である。サーバを独立した区画に仮想的に分割し、それぞれの区画にサービスを分散させることが可能になる。区画は“ゾーン”と呼ばれる。資源管理機能と組み合わせることで、もちろん資源の集中管理もできる。資源の配置も自由に行えるようになる。理論上、4000以上のゾーンに分割してシステムを構築することができる。「セルフ・ヒーリング機能」はIBMの自律コンピューティングと同様の概念だ。障害検知から障害情報収集、自動リカバリを始め、OSのレベルで障害からの復旧作業を迅速に行えるような機能を実装した。

サンの次世代3D画面表示システム(クリックすると拡大)

 「Solaris 10」に実装される機能の多くは主にエンタープライズレベルの話題だが、同社では、「Solaris 10」でLinuxとの互換性を強化することで、Windowsに支配されている企業向けデスクトップ市場をも狙っている。2004年4月にリリース予定(米国では2003年12月発売)の「Java Desktop System(JDS) 2004 H1」は、SUSE LINUX Desktop 8をベース(しかし、サン独自のディストリビューションである)としたデスクトップ環境である。GUIにGnomeを採用し、WebブラウザにはMozilla、メーラーにはXimian Evolution、オフィス・アプリケーションにStar Suite 7など、オープンソースのプロダクトとサンの独自製品を組み合わせながら、Windows環境との互換性に配慮した「格安でしかも使いやすく、安全なデスクトップ環境」(プロダクト & ソリューション・マーケティング本部 増月孝信氏)を提供する予定である。あくまで企業向けのデスクトップ環境であり、基幹系サーバで「Solaris 10」を動かし、クライアントでLinuxベースのJDSが動作するという状況は、Windows以外のコンピューティング環境として、顧客からみれば1つの選択肢になるだろう。

 また、同社は次世代のデスクトップ環境として“Project Looking Glass”も提案している。つまり次世代の3D画面表示システムなのだが、実用的かどうかはさておき、デモンストレーションを見るだけならかなり新鮮で面白い。

(編集局 谷古宇浩司)

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