製造業のテスト手法をソフト開発に生かす、米Parasoft

2004/2/21

 「製造業などで行われている高品質化の取り組みが、なぜソフト開発では生かされていないのか」。米Parasoft CEOのアダム・コラワ(Adam Kolawa)氏はこう語り、同社が提唱するソフト開発のテスト手法である「Automated Error Prevention」(AEP)の重要性を強調した。

米Parasoft CEOのアダム・コラワ氏

 AEPとは「製造業などで標準的に行われているテストの方法論をソフト開発に採用した」(コラワ氏)内容。ソフト開発のデザインやコーディングなど各段階で「エラーを検出」「エラーの原因を特定」「エラーを作り込んだ生産工程を特定」「エラー防止策を実装」「プロセスを管理する」の各施策を実施するという考えが基本。ソフトをビルドした後にテストをしてエラーを検出するのではなく、ソフト開発のライフサイクル全般においてエラーをチェックするというのが特徴だ。

 AEPはソフト開発に関する基本的な概念で、実際のチーム開発に適用するには別の方法論が必要になる。それが「Parasoft AEP Methodology」。ソフト開発のライフサイクルで「業界の最適なエラー防止策を適用し、一般的なエラーを防止する」「必要に応じて独自のエラー防止策を導入する」「チーム開発の各グループがAEPを正しく実装できるように開発ツール、テストツールを用意し、ワークフローを策定する」「段階的にAEPのエラー防止策を導入する」「各工程の安定性を測定し、目標レベルを超えるようプロセスを改善する」という施策を実行する。

 AEPを確実に実行しソフト開発のエラーを取り除くには、開発メンバー全員がAEPを理解し、「忠実に実行する必要がある」(コラワ氏)。しかし、容易に想像できるようにメンバー全員にAEPを理解させ、実行させるのはとても困難だ。これを解決するためにParasoftが開発したのがAEPに基づいたJava対応ユニットテストツール「Jtest5.0」(国内ではテクマトリックスが日本語版を今春出荷予定)。Jtest5.0を使ってソフト開発の各工程をチェックすることで、「組織的にAEPを仕込むことができ、デベロッパの作業がAEPに基づいてエラーを排除しているか確認できる」という。

 Jtest5.0は「ソフト開発の早期に徹底したテスト・デバッグを実行することで、開発後期まで残ってしまうバグを最小限にする」という考えを基にユニットテストを実施。あらかじめ設定したルールに基づき、コーディング違反を自動検出したり、クラス単位での仕様、構造のテスト、コード修正後のバグ検出などが可能。最新版の5.0ではエラーの自動修正機能を強化した。テストの各設定をチームサーバ上で一括管理し、チーム全体のテスト設定やファイル管理を容易にする機能もオプションで追加した。Eclipse IDEとのシームレスな統合も可能。次バージョンではJBuider、Together ControlCenterとの統合を可能にするという。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
米Parasoft
テクマトリックス Jtestページ

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