自社開発の苦労を減らす商用クラスタ・ミドルウェア日本上陸

2004/6/2

東京エレクトロン コンピュータ・ネットワーク事業部 マーケティング・グループ 松永豊氏

 東京エレクトロンは6月1日、米ゴーアヘッドの商用ミドルウェア「SelfReliant 3.0」の販売を開始すると発表した。商用クラスタリングソフトと同様の“設定の容易性”を維持しながら、必要に応じて自社開発した技術の組み込みが可能なモジュール型の提供形態を採用している。通信機器開発や金融システム開発(オンライン・トランザクション・システムなど)、製造業向け生産ライン、プロセス制御システム開発向けに提供していく予定。「基本可用性管理」「分散メッセージング」「組み込みシステム管理」の3つのパッケージおよびすべてを含んだアドバンスト・スイートを選択することができる。

 ミッションクリティカル・システムの開発において、現在は、商用のクラスタリングソフトを導入するケースとアプリケーションの特性を盛り込みながら自社開発を行うケースの2つが主流である。しかし、同社 コンピュータ・ネットワーク事業部 マーケティング・グループ 松永豊氏によると「商用クラスタリングソフトは多機能だが、そのアーキテクチャ特性により、フェイルオーバーに時間がかかり過ぎ、カスタマイズも難しいといった短所がある」という。また、後者については「開発期間やコストがかかり、さらには開発自体が失敗するかもしれないというリスクがある」と指摘する。

 確かに、多くの商用クラスタリングソフトは、固定化した機能がOSやハードウェアに依存しながら個別に動作し、障害発生によるフェールオーバーはディスク共有を前提としているため時間がかかる。SelfReliantは、このような商用クラスタリングソフトの欠点を排除し、機能をモジュールに分割、ほぼすべての機能に対して提供されるAPIを備えることでカスタマイズも自由に行うことが可能となっている。また、標準準拠のハードウェア、OS、インメモリDBに対応し、高速・軽量、かつ将来的なアップグレードのサポートも可能とした。

 米国を中心として、ミッション・クリティカル システムの開発プロセスを標準化しようとする動きがある。ハードウェア、OS、DB(インメモリ)などとインターフェイスの整合性をとるミドルウェアおよびAPIをすべて標準化してしまおうという動きだ。サン・マイクロシステムズやヒューレット・パッカード、IBM、Nokia、モトローラ、NECなど32社が参加する「SERVICE AVAILABILITY FORUM」は、現在、ハードウェアとアプリケーションの2種類のインターフェイス規格を公開している。ゴーアヘッドは同フォーラムの創設企業の1社である。

(編集局 谷古宇浩司)

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東京エレクトロンの発表資料

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