マクニーリが語った“本当のCIO”の姿とは
2003/10/24
サン・マイクロシステムズは10月21日、同社の225種ともいわれるミドルウェアを6つの製品群に整理、統合した「Sun Java System」を発表した。その中核製品となる「Java Enterprise System」は、従業員1人当たり年間1万1000円というこれまでにない価格体系とライセンスを導入し、ソフト業界を驚かしている。顧客に対して四半期ごとにミドルウェアをアップデートすることを確約するのも前代未聞だろう。Sun Java Systemはソフト業界を革新し、売上高が減少し続けているサンの救世主となるのか。10月23日に開催されたサンのイベント「Network Computing 2003 Autumn」で講演したサン・マイクロシステムズの会長、社長兼CEOのスコット・マクニーリ(Scott McNealy)氏は、「サンはデルのような会社になることは一切考えていない。システムソフトウェア、ストレージ、サービス、サポートで利益を上げる」と述べ、サンを再度浮上させる意気込みを強調した。
サン・マイクロシステムズの会長、社長兼CEOのスコット・マクニーリ氏。左は「Sun Java System」のパッケージ |
マクニーリ氏は現在の企業情報システムについて、複雑性が高まることによるコスト増の問題を指摘した。「ある3つの文字で知られているワシントンにある諜報組織の人と話をした。彼らは世界中の状況を諜報する非常に複雑なシステムを持っている。しかし、複雑なネットワークのためにすべての情報の5%しか諜報できていないといった」と明かし、複雑な情報システムの弊害を説明した。
Sun Java Systemではサンがミドルウェアを企業の利用用途別に整理し、統合した。マクニーリ氏は、「航空会社の航空機は、用途に合わせて1機ずつ手作業で組み立てられている。企業の情報システムも同じ状況で、各社がミドルウェアの実装計画を持っている。これがコストを押し上げている」と指摘し、「サンは、システムの個々の部品ではなく、完成された飛行機を企業に提供する」とSun Java Systemの考えを説明した。
Sun Java Systemが導入される企業では、「チーフ・インテグレーション・オフィサーではなく、チーフ・インフォメーション・オフィサーである本当のCIOがいなくてはならない」とマクニーリ氏は述べて、ミドルウェアの統合など顧客企業が本来の業務以外のことまで考える必要がある現在のソフト業界を批判した。
サンを巡っては一部メディアが「富士通とUNIXサーバを統合」と報じた。サン、富士通とも「何も決まっていない」とコメント。マクニーリ氏は講演で、特にコメントしなかった。マクニーリ氏の基調講演前にあいさつしたサン・マイクロシステムズ日本法人の代表取締役社長 ダン・ミラー(Dan Miller)氏も、「今週一杯をかけて、大手パートナーと会う」と述べて、パートナーとの協調姿勢を説明するにとどまった。
(編集局 垣内郁栄)
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