「これは遠い未来の話ではない」、MS古川氏
2004/6/3
米マイクロソフト バイスプレジデント兼マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者 古川享氏 |
マイクロソフトは6月2日〜3日の2日間にわたり、「the Microsoft Conference + expo 2004」を開催する。初日の基調講演では米マイクロソフト バイスプレジデント兼マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者 古川享氏が登壇、「ビジネスコンピューティングの未来 〜ユビキタス社会の到来に向けて〜」と題し、ITが可能にする近未来のビジネス社会のあり方について熱弁をふるった。
古川氏は冒頭で、情報技術の標準規格化が進み、それぞれの(技術の)相互運用が確保されつつある事実を指摘、W3C、IEEE、OASIS、IETF、WS-Iといった米国のIT企業が中心になって運営する業界団体の存在と働きは、ベンダ間の(技術の)垣根を撤廃する方向に作用していると述べた。このような情報技術のトレンドは、従来個別に存在していた企業のさまざまなサービスをコンポーネント化し、連携させ、企業間の垣根を超えたまったく新しい事業展開を後押しするものだと古川氏はいう。
人事サービス・コンサルティングという、住友信託銀行と花王、松下電器産業の合弁会社がある。この企業は、出資企業3社の人事サービスをソフトウェア・コンポーネント化し、アウトソーシング・サービスを展開する仕組みをWebサービスの技術を活用して構築した。各社個別の仕様には、機能のアドオンという形で対応している。現在、10万人を超える規模にまで成長しているという。「人事部門というのは従来、企業の中のコストセンターだった。しかし、事務手続きなど各企業で共通化できるルーティンワークをサービスとしてコンポーネント化することで、プロフィットセンターへと衣替えを図ることができた」(古川氏)。
「現存する技術を組み合わせることで、われわれが“遠い将来の出来事”だと思っている多くのサービスを実現できる」と古川氏はいう。それは例えば、「ビデオフォン」「音声認識」「複数のディスプレイタブレット」「スマートフォン」「生体認証」「新メール環境」「複合ディスプレイ」「新ミーティング環境」といった、同社が「ビジネスコンピューティングの未来」を語るうえで提示するソフトウェア(あるいはハードウェア)を指す。
遠い将来を見つめながら「どんな情報技術が必要か」を議論するのではなく、「いまある技術を使って何ができるのか」を議論する時代にわれわれは立っている。
なお、the Microsoft Conference 2004 は今回の東京を皮切りに、名古屋、大阪、札幌、仙台、広島、福岡の全国7都市で開催される予定。
(編集局 谷古宇浩司)
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