米MS VPが語るマイクロソフトが落第した分野

2004/4/21

米マイクロソフトのインフォメーションワーカー ビジネスユニット担当 コーポレートバイスプレジデント ピーター・リニアスン氏

 米マイクロソフトのインフォメーションワーカー ビジネスユニット担当 コーポレートバイスプレジデント ピーター・リニアスン(Peter Rinearson)氏が来日した。リニアスン氏は、「Microsoft Office System」を含むインフォメーションワーカー製品群を核とした新規ビジネス開発を担当している。パートナー連携、ソリューション開発、新規市場開拓やマイクロソフトの長期ビジョンの策定などだ。

 来日目的の1つに、Information Work Productivity Council (IWPC)への日本企業および経済学者の参加要請がある。IWPCとは、マイクロソフトやアクセンチュア、ゼロックスなどが中心となって結成した協議会。情報技術の活用による企業の生産性向上の基準策定などを行う。
 
 リニアスン氏の仕事は多岐にわたるが、あえて簡単に表現すれば、「最新の情報技術を活用したオフィスワークの提案、および情報技術の活用による企業の生産性に対する効果測定基準の策定」といったところか。「マイクロソフトは、よい製品(技術)を作り上げる、という作業においては及第点をあげられる実績を積み重ねてきた。しかし、ユーザーが製品(技術)をどのように活用し、その結果どのように仕事のやり方を変えていけばいいか、という観点からみると、不満が残る」とリニアスン氏はいう。

 リニアスン氏の立場は、米マイクロソフトのバイスプレジデント兼マイクロソフト 執行役最高技術責任者 古川享氏と非常に似通ったものがある。古川氏が3月下旬に、学生向けに行ったいくつかの講演内容とリニアスン氏のプレゼンテーション内容は重複しており、メッセージもかなり似ている。マイクロソフトリサーチの研究・開発の最新成果であるRingcam(音声指向のチップを搭載した回転式カメラ)を活用した“Distribution Meeting(コードネーム)”の紹介や、Microsoft Research Asiaで開発中の、人間の顔の表情をデータ化して表現するソフトウェアに関する言及などがそれだ。

 現段階の情報技術が成熟したとは必ずしもいえないが、情報技術が仕事のやり方を変え、あるいは人々の生活に大きな変化を与えている要素であることは間違いない。「15年前と比較して仕事のやり方がまったく違ってしまっているということに気が付くはずだ。すると、こういう疑問が当然わく。じゃあ、次はどうなるんだ? と」(リニアスン氏)。
 
 “情報技術に何ができるのか、情報技術を活用することで、何が変わるのか”という観点は、実はこれまでマイクロソフトをはじめとしたITベンダが意識してこなかった部分だ。「そういう状況が長く続いた結果がいまだ。(マイクロソフトの)製品の魅力がうまくつたわっていなかったとしたら、その努力を怠ってきたわれわれの責任であることはいうまでもない」とリニアスン氏がいうように、確かに情報技術は少なからず社会に影響を及ぼしてはいるものの、その潜在力を十二分に発揮しているとはいえないようだ。

(編集局 谷古宇浩司)

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