「要求は変化するものだ」、だから……

2004/6/17

米ボーランド ソフトウェア 最高技術責任者 パトリック・カーパン氏

 あるソフトウェアを構築するためには、顧客がそのシステムに何を望んでいるのかを明確にさせなければならない。これがいわゆる“要求”と呼ばれるものである。開発プロジェクトを巡るさまざまな問題の中で、この“要求”に関するものがいろいろな場所で頻繁に取り上げられるのはなぜなのか。
 
 米ITtoolboxは、ある開発プロジェクトを完遂するうえで直面するいくつかの問題を挙げている。この調査の中で重要な問題とされているのが「要求が不明確」(25.26%)や「開発要件の頻繁な変更」(18.56%)であった。2〜3カ月の短期開発が主流となり、例えばメインフレームの時代と比較して、開発スピードが格段に向上した昨今の開発現場において、顧客の要求は頻繁に、そして必ず変化することが当然だとしておかなければならない。となると、従来のように、手作業やドキュメントベースでシステムの要求を管理することは非常に効率が悪いということになる。
 
 「理想的な要求管理とは」、と米ボーランド ソフトウェア 最高技術責任者 パトリック・カーパン(Patrick Kerpan)氏はいう。「要求管理を自動化するインフラストラクチャを導入すること。プロジェクトチーム内で要求管理を徹底化させること」。

 ボーランドが6月17日に発表した要求管理システム「Borland CaliberRM 6.5」日本語版は上述のロジックを背負って登場する製品である。同製品は、プロジェクトチーム間で円滑な共同作業を計るために設計された要求管理システムであり、要件データや関連情報、要件やプロジェクトに関するチームディスカッションなどをリポジトリで集中的に管理し、分散したチームメンバー間で共有することができるシステムとなっている。

 すべての変更が監査記録として記録できるほか、TCP/IPによるアクセスサポートでプラットフォームや場所の制限を超えたチーム連携が可能となる。要求の変更による影響範囲を分析・把握できるトレーサビリティもサポートしているため、開発のどのフェイズの変更要求にも対応することができる。

 同製品の日本語版の国内での登場は今回が初めてのこと。国内における要求管理ツールとしては、日本IBMの「IBM Rational RequisitePro」が先行している。RequisiteProはMicrosoft Wordを使って要求を文書化できるなど、マイクロソフト製品との親和性の高さを特徴としている製品で、欧米ではCaliberRMと双璧をなす要求管理ツールである。

 なお、ボーランドでは、CaliberRM 6.5リリースと同時に構成管理ツール「Borland StarTeam 6」もリリースする。

(編集局 谷古宇浩司)

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