[BEA eWorld JAPAN 2004開催]
SOAをうまく採用するための3つの注意点
2004/6/19
SOAは、企業内の既存システムや複数企業に分散した情報システムを、ビジネスプロセスに沿って効率的に統合するためのアーキテクチャであり、XMLやWebサービスといった標準技術に立脚する。数年前からJ2EE、XML、Webサービスなどの標準化技術のリーダーを自認してきたBEAシステムズは、このSOA対応でライバルに先んじる戦略だ。J2EEをベースにSOA機能を構築するためのフレームワークを、「Beehive」と呼ばれるプロジェクトでオープンソース化した。また、SOAで使われるデータの流れを管理するプラットフォームとして「Quicksilver」を開発した。
6月17日に都内で行われた「BEA eWorld JAPAN 2004」の会場で、同社の最高技術責任者を務めるスコット・ディッゼン(Scott Dietzen)氏は、マイクロソフト、IBM、BEAの3社こそSOAの立役者だという。
――すでに多くのベンダがSOAという言葉を使って自らをアピールしていますし、製品のSOA対応を始めています。この中から利用者はどこを見て製品やベンダを選ぶべきでしょうか?
BEAシステムズの最高技術責任者 スコット・ディッゼン氏 |
ディッゼン氏 SOA、XML、Webサービスといった標準化を最も支援してきたのは、マイクロソフト、IBM、そしてBEAの3社です。これは、標準技術の仕様書などドキュメントを見てもらえば分かるはずです。ここには、オラクルやSAPといった企業名は登場しません。彼らは、「システム統合は難しいですが、当社の製品で統一すれば容易にできます」といって製品を売ってきました。一方で、マイクロソフトやIBMやBEAは、Webサービスといった業界標準こそが顧客にとって最も優れたソリューションである、ということを信じています。
では、この3社の中では、どのベンダを選ぶべきでしょうか。BEAにとってはIBMが最大の競合企業ですが、彼らのWebSphereは製品が複雑すぎます。次バージョンでは82枚ものCD-ROMが必要だというのです。われわれBEAのフィロソフィーは製品をシンプルにすることであり、そうした特徴が顧客に選ばれるものだと信じています。
――SOAは言葉どおり新しいアーキテクチャであり、その採用に当たっては慎重にアーキテクチャを設計することが重要だとおっしゃいましたね。アーキテクチャの設計で具体的に注意するべき点は?
ディッゼン氏 1つ目は、まずスキーマオーサリング、すなわちデータの標準化に取り組むことです。開発者が「それを実現するには、新しいデータオブジェクトが必要だ」といったときには、それまでに開発したデータオブジェクトのリポジトリを調べて、本当に異なったデータオブジェクトを新たに作るべきかどうか、レビューするべきです。やたらと新しいデータオブジェクトが乱立して、データが混乱したり重複したりしないようにするべきです。
2つ目には、SOAで構築したアプリケーションで顧客に提供するサービスそのものも、サービス指向にすることも重要です。ただしこれはテクノロジの問題というよりもアートに近い問題かもしれません。
そして、SOAのオーサリングにおけるベストブリードを採用することでしょう。過去にDCEやCORBAといった分散オブジェクトを採用したアプリケーションがあったとしても、それらをSOAの中へうまく取り込んでいかなくてはなりません。BEAの提供するBeehiveやQuicksilverなら、ベストブリードを提供できます。
(編集局 新野淳一)
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