ビジネスFlashの最右翼となれるか? Macromedia Flex

2004/6/24

 マクロメディアは6月22日、IDGジャパン主催の「Java World Day 2004」においてエンタープライズRIA開発ツール「Macromedia Flex」のプレビューを行った。

 Macromedia Flex(以下、Flex)はJ2EEアプリケーションサーバ上でFlashによるリッチクライアントを実現するプレゼンテーションサーバだ。米国ではすでに出荷が開始されているが、日本国内では秋ごろの出荷が予定されている。

 Flexのデモを行ったマクロメディア FLEXプロダクトマネージャ 須賀正明氏は、「FlexはXMLを使ってFlashを使ったアプリケーションを開発できるサーバソリューション」だと説明する。デザイナーのための要素技術として見られがちだったFlashを、J2EEをはじめとするサーバサイド開発者向けに、XMLのタグベースで扱えるようにしたのがFlexだ。Flashを開発するために用意されたタグはMXMLと呼ばれ、XMLを理解できる開発者であれば誰もが扱うことができる。オーサリングツールを使わなくとも、XMLを書くだけでFlashインターフェイスを生成できる点が画期的だ。

 デモでは、amazon.comのWebサービスを利用し、書名を入力、検索し表示するという一連の動作をFlashインターフェイス上で実現するプログラムを5分ほどで実演してみせた。Flexには専用の開発ツール「Brady(開発コード名)」も利用することができ、Visual Basicライクにコンポーネントを貼り付けて開発できる環境が用意されている。

Bradyは、MXMLとFlashのデザインをリアルタイムに同期させる開発スタイルを実現する。画面をクリックすると拡大表示されます。

 Flexサーバ自体はサーブレットとして動作するので、あらゆるJ2EEサーバと親和性が高い。Flexはユーザーインターフェイスの生成とビジネスロジック層との連携を担う。よって従来のJ2EE開発のスタイルはそのままに、JSPで開発していた部分をMXMLに置き換えることでユーザーインターフェイスをFlashベースにできる。これはStrutsなどのフレームワーク上で構築したアプリケーション(Strtus+JSP=HTMLインターフェイス)をFlashベースに移行(Struts+MXML=Flashインターフェイス)するのも可能であることを示す。すなわち、Flexは操作性や生産性に課題を抱える既存のWebアプリケーションのマイグレーションにもソリューションを提供するというわけだ。

 なお、Flexは.NET Framewrokに対応したバージョンも開発されており、.NETとも親和性の高い開発が可能になる予定だ。

 Webアプリケーションはクライアント管理におけるTCO削減を実現したが、操作性や生産性の点ではダウングレードをもたらした。その反省として、Webブラウザにおけるリッチクライアント技術が登場している。国内ではアクシスソフトのBiz/Browser、海外ではCurl、Nexawebといったさまざまなリッチクライアント技術が登場している中、最も新しい顔であるFlexが今後どう評価されるかに注目したい。

(ナレッジリンク 宮下知起)

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