「Adobe LiveCycle」が前面に、アドビのPDF戦略

2004/6/25

アドビシステムズの代表取締役社長 石井幹氏

 アドビシステムズの代表取締役社長 石井幹氏は6月24日、2004年下半期のアドビのビジネスについて説明し、PDFをベースに企業のビジネスプロセスを効率化するアドビ インテリジェント・ドキュメント・プラットフォームを引き続き訴求することを強調した。特に電子ドキュメント関連のサーバ製品を「Adobe LiveCycle」の名称の下に統一し、顧客企業に強く訴えていく方針を示した。

 Adobe LiveCycleは、アドビが持つドキュメント関連サーバ製品の総称。PDFドキュメントの生成から共有、コントロール、セキュリティ、プロセス管理とアドビには多数のサーバ製品があるが、今後は「Adobe Acrobat」を除き、Adobe LiveCycleの名称でまとめられる。「Adobe LiveCycle Form Designer」などと各サーバ製品にAdobe LiveCycleの名称が付くことになりそうだ。各サーバ製品の単体販売も続けられる。

 石井氏は国内で今後注力する分野として、電子申請の案件が続いている電子政府市場や、紙の文書から電子ドキュメントに移行し、業務効率を向上させられる金融サービス・保険の市場、技術文書などを電子化する需要が期待できる製造業の市場などを挙げた。

 アドビは、企業で相次ぐ個人情報の流出被害などを受け、PDFを使ったセキュリティ対策の分野にも力を入れる。米国で2月に発表した「Adobe Policy Server」を活用。PDF文書が社外に出てしまっても文書のアクセス権限の変更で閲覧できないようにする機能がある。ほかに文書の有効期限の設定、閲覧ログの保存などの機能があり、コンプライアンスを重視する企業のニーズに柔軟に対応できるという。

 アドビのワールドワイドの2004年第2四半期(3月6日から6月4日)の売り上げは、前年同期比28%増の4億1010万ドルで好調さを保っている。純利益は70%増の1億0940万ドル。グラフィックス系ソフトの統合製品に加えて、インテリジェント・ドキュメント・プラットフォーム関連の製品が好調で、インテリジェント・ドキュメント関連製品は売り上げ全体の32%を占めたという。

(編集局 垣内郁栄)

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アドビの発表資料

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