次世代ACOS-4はIAベースのメインフレーム

2004/8/3

NEC 代表取締役副社長 川村敏郎氏

 NECは8月2日、メインフレーム「ACOS-4」シリーズがItanium2を搭載した次世代ACOS-4として生まれ変わると発表した。この次世代ACOS-4は、NEC独自開発のチップセットとファームウェアを搭載、OSにはACOS-4のほか、HP-UX、Windows、Linuxといったオープン系OSをネイティブで動作させる環境を整える予定だ。それぞれのOSはメモリとプロセッサ資源を共有しながら動作するパーティショニング機構を採用することで「ニーズに合わせてダイナミックにリソースを構成し直すことができる」(同社 代表取締役副社長 川村敏郎氏)。

 現行のメインフレームACOS-4のCMOSプロセッサは、大量のOLTP処理やバッチ処理をこなすため、プロセッサの並列結合によるパラレル処理技術に磨きをかけてきた。メインフレームからオープン系システムへの移行が時代の流れとはいえ、同社としては、これまで積み重ねてきたプロセッサ開発のノウハウをこのまま捨て去るわけにはいかず、また、1200ともいわれる既存のメインフレームユーザーをつなぎとめておくためにも、膨大なメインフレーム資産を継承しながら、同時にオープン系システムに移行する手段を模索していた。その結果、既存のACOS-4と完全バイナリ互換を達成しながら、将来的なオープン系システムへの移行への糸口も残す次世代ACOS-4のリリースが実現した。

 ACOS-4の強化に加え、同社はPA-RISCベースのHP-UX機(現行NX7000)にもメスを入れる。インテルプロセッサを搭載し、HP-UX/Linux/WindowsなどのマルチOSをサポートする「NX7700i」と、PA-RISCの継続強化版「NX7000」の2系統に分割し、既存ユーザーの資産継承を図る措置をとった。なお、汎用IA-32サーバ「Express5800」にはEM64T対応プロセッサを採用することで、64ビット対応を行うこととする。

 サーバに限らず、現在のIT業界は「統合(consolidation)」が流行である。その中で、サーバ統合という局面においては、メインフレームからオープン系システムによる移行というトレンドとともに、メインフレームをそのまま継承していくというトレンドも並行して現れ始めている。IBMによるzシリーズの強化や今回発表したNECのACOS-4がそのよい例だろう。かつてメインフレームで強固な顧客層を築いてきたメインフレーマにとって、メインフレームにかかわる案件をそのまま継承するのは、ビジネス上のメリットが非常に大きい。もちろん、蓄積したメインフレームの技術は継承しながらも、オープン技術と融合させることで、まったく新しい製品ラインアップを構築することになる。

 2003年度のNECのハードウェアプラットフォーム事業の売り上げは5300億円強で、利益は100億円強である。売上高利益率は2%弱といったところだ。「2005年までには(売上高利益率を)5%程度には拡大したい」と川村氏はいう。その数字を実現するための戦略として、今回発表した次世代ACOS-4をはじめとするハードウェアプラットフォーム製品の強化によるサーバ統合事業の推進(同社では年間700案件程度を見込む)がある。

(編集局 谷古宇浩司)

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