デル、IBMにダメ出し、IAサーバでHPが自信満々な理由
2004/8/6
日本ヒューレット・パッカードは8月5日、64ビットと32ビットのアプリケーションを稼働させられるインテルのエクステンデッド・メモリ64テクノロジ(EM64T)に対応したXeonプロセッサを搭載した「HP ProLiantファミリ」の新サーバを発表した。
日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 統括本部長 松本芳武氏 |
EM64T対応のIAサーバはデルや日本IBMなど主要なサーバベンダが発表している。日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 統括本部長 松本芳武氏は「デルのような限定的なサーバ・ポートフォリアのベンダには、HPの標準技術に基づく1〜128wayまでスケールアウト可能なサーバ・ポートフォリオで対抗できる」と説明。IBM、サン・マイクロシステムズなどに対しても「プロプライエタリな技術のサーバ戦略」と指摘し、「HPの標準化技術によるお客様へのメリットで差別化できると確信している」と強調した。
EM64T対応のサーバを投入することでHPはIAサーバで、Itanium搭載のIntegrityサーバと、64ビット拡張機能を持つAMD Opteron搭載のProLiantサーバ、32ビットのXeon、Pentiumプロセッサを搭載したProLiantサーバの各シリーズを持つことになる。HPは今後、32ビットプロセッサよりも、EM64T対応Xeon、Opteronに注力する方針。今後3カ月でProLiantサーバの販売台数の約半分をEM64T対応Xeon、Opteron搭載のサーバにしたい考えだ。半年後には販売台数の90%をEM64T対応Xeon、Opteronサーバにすることを目指す。既存の32ビットプロセッサを搭載したサーバと、EM64T対応Xeon、Opteronを搭載したサーバの価格差をなくし、顧客のシステムを全面的に64ビット拡張機能プロセッサに移行させる。
EM64T対応Xeonを搭載したサーバと、Opteronを搭載したサーバの住み分けは、稼働させるアプリケーションで行う。日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリー スタンダード サーバ製品本部 本部長 上原宏氏によると、HPは当初、Opteron搭載サーバのコストパフォーマンスのよさを顧客に強調するつもりだった。しかし、発表後はコストパフォーマンスのよさに加えて、広いメモリ空間を活用できる科学技術計算などのハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)分野での問い合わせが多かった。Opteron搭載サーバに対する引き合いの90%はHPC用途だといい、上原氏は「HPC向けにアピールする」と述べた。
一方、EM64T対応Xeonを搭載したサーバは幅広いラインアップを用意し、情報システムのさまざまな用途で利用できるようにする。今回発表したのはProLiantの4シリーズ。「ML350」(21万円から)はEM64T対応Xeonを2個搭載できるタワー型サーバ。中小規模事業所でのファイルサーバなどに利用できる。同じく2wayのタワー型「ML370」(37万8000円から)は大企業のワークグループや小規模なミッションクリティカルなアプリケーションに利用できる。「DL360」(28万3500円から)は1Uサイズのラックマウント型サーバで2way構成。データセンターでの利用を想定している。「DL380」(44万1000円から)は2Uサイズのラックマウント型サーバ。2個のXeonプロセッサを搭載でき、サービスプロバイダや大企業での基幹アプリケーションに利用できる。HPはEM64T対応Xeonを搭載したブレードサーバ「BL20p」も9月に提供開始する。
HPはマイクロソフトとの強い連携もアピールしている。64ビット・アプリケーションを開発するソフトベンダに対して、HPとマイクロソフトが共同で支援する。HPはソフトベンダに対してML350を提供。マイクロソフトはEM64T対応XeonとOpteronで、64ビットと32ビットの両方のアプリケーションを稼働させられる「Windows Server 2003 for 64-bit Extended Systems」と、「SQL Server 2005」「Visual Studio 2005」の各ベータ版をそれぞれ提供する。
マイクロソフトのサーバー プラットフォーム ビジネス本部 Windows Server製品部 部長 高沢冬樹氏はWindows Server 2003 for 64-bit Extended Systemsの出荷時期について、「Windows Server 2003 Service Pack 1の出荷と同時期の2005年前半にリリースする」と説明。32ビット版Windows Server 2003からWindows Server 2003 for 64-bit Extended Systemsへの移行についても「交換プログラムを計画している」と述べた。
(編集局 垣内郁栄)
[関連リンク]
日本HPの発表資料(その1)
日本HPの発表資料(その2)
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