デルが基幹システム進出宣言、「われわれは革命児だ」
2004/8/3
デルはインテルのエクステンデッド・メモリ 64 テクノロジ(EM64T)対応のXeonプロセッサを搭載した新IAサーバ「PowerEdge 2850/1850/2800/1800」を発表した。それぞれXeonプロセッサを2個搭載できる。デルの代表取締役社長 浜田宏氏は「第8世代となるPowerEdgeシリーズでシステムの上流、ハイエンドにある基幹ビジネスに食い込んでいきたい。数年以内に(IAサーバの)ハイエンドでもリーダーになれると確信している。今回はその宣言」と述べ、UNIXサーバやメインフレームが得意とする基幹システムの分野でIAサーバへのマイグレーションを積極的に進める考えを強調した。
デルの代表取締役社長 浜田宏氏 |
浜田氏は「デルのサーバというと価格対性能比がよいということで売れているというイメージがある。しかし、あえていうとデルのサーバはかつてのように他社と比較して3〜4割安いということはない。価格だけで売っているのではない」と話し、低価格戦略と結び付けられることを拒否。技術コンサルティングのデル・プロフェッショナル・サービス(DPS)や、UNIXサーバからIAサーバへのマイグレーションの提案力、サービス・サポートの強化などでビジネスが拡大していることを強調した。浜田氏は、DPSについて「対前年比で売り上げは2倍になっている」としてコンサルティングの強化がサーバ製品の拡大につながっていると説明した。
新PowerEdgeがターゲットにするのは、これまでUNIXサーバが担ってきたデータベースやHPCC、システム管理、仮想化などのアプリケーション分野だ。IAサーバはこれまでWebサーバやファイルサーバなど企業のフロント部分で利用が広がってきたが、浜田氏は2/4wayのサーバをシステムの拡張に合わせてクラスタ接続で追加する「スケールアウト」の戦略を採用することで、企業の基幹システムでもIAサーバを利用できると強調。IAサーバがUNIXサーバと比較して低コストで、高いサーバの稼働率を維持できると訴えた。
デル エンタープライズ事業本部 ソリューション本部長 多田和之氏 |
デルは基幹システムのIA化を目指す大企業をサポートするエンタープライズ専任チームも編成する。専任チームは大企業向けの営業部門内に設置。DPSと連携し、企業にシステムを提案する。デルのエンタープライズ事業本部 ソリューション本部長 多田和之氏は、専任チームについて「ディザスタリカバリの構築などデル自身の事例を紹介し、“IAサーバでここまでできる”ということを説明したい」と述べた。デルは、大企業の基幹システム向けの「プラチナ・サービス」も年内に始める。デルが現在行っている「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」のサービス・サポートは原則、サーバ1台ごとのサービスだが、プラチナ・サービスはサイト単位でサポートを提供する。サイト全体の計画運用を提案し、パッチの適用など定期的なサポート業務を行う。「場合によってはスタッフの常駐も行う」(多田氏)という。浜田氏は「われわれはサービスでも革命児でありたい。今年後半の最大の課題はサービス・サポートのメニュー強化だ」と述べた。
デルが発表したのはPowerEdgeの4シリーズ。いずれもXeonプロセッサを2個搭載可能。メモリ帯域が向上したDDR2-400 SDRAMを最大12GB載せることができる。PCI Expressに対応し、800MHzのフロントサイドバスも搭載する。「1800」「2800」はタワー型のサーバで、1800はWebサーバなどに利用できるエントリモデル、2800は基幹システムで利用できるハイエンドモデル。「1850」「2850」はラックマウント型サーバ。1850は1UサイズでHPCCの利用などに適している。2850は2Uサイズでデータベースやアプリケーションサーバなど幅広い用途に対応するという。
多田氏はEM64T対応のXeonプロセッサについて「ほとんどのアプリケーションは32ビット。来年、再来年も主力は32ビットだろう。しかし、UNIXを中心に環境は64ビットに移行しつつある。EM64T対応Xeonプロセッサを搭載することで顧客が32ビットから64ビットにシームレスに移行できるようにする」と説明した。デルは1wayや4wayなどそのほかのIAサーバも順次、EM64T対応Xeonプロセッサを搭載していく考えだ。
新サーバはシステム管理機能も強化。サーバの管理プロトコルである「IPMI(Intelligent Platform Management Interface)1.5」に準拠し、ヘテロジニアス環境でのサーバのリモート監視が可能。また、リモートで別サーバのコンソールの処理や仮想フロッピー、CDのマウントができる「DRAC(Dell Remoto Access Controller)4」も搭載する。
最小構成価格は2850が30万2400円から、1850が24万4650円。8月2日に販売を開始した。2800と1800は価格未定。10月に販売を開始する。
(編集局 垣内郁栄)
[関連リンク]
デルの発表資料
[関連記事]
国内IAサーバの市場シェアトップの座、NECがデルから奪還 (@ITNews)
日本デビューを飾った米デルの新CEO ケビン・ロリンズ氏 (@ITNews)
デルが教育サービスに進出。やっぱりデルモデル? (@ITNews)
100万円を切るSANストレージで中小を狙う、Dell|EMC (@ITNews)
デルのCIOに聞く、「IT部門の社内地位を向上させるには?」 (@ITNews)
情報をお寄せください:
最新記事
|
|