「ストレージ・グリッド」を全製品に展開するNetAppの狙い
2004/9/4
日本ネットワーク・アプライアンスはヘテロジニアス環境のストレージを統合管理し、ストレージのリソースやパフォーマンス、可用性を自在に拡張するための新たなアークテクチャ「ストレージ・グリッド」を、今秋にも国内で展開する考えを明らかにした。米ネットワーク・アプライアンス(NetApp)のゲートウェイ・ビジネス・ユニット担当本部長兼バイスプレジデント ジェフ・ホーナング(Jeff Hornung)氏は、ストレージ・グリッドについて「さまざまな種類のストレージがあっても物理的なロケーションを意識することなく、クライアントからはストレージが1カ所にあるように見える」と説明した。
日本ネットワーク・アプライアンス 代表取締役社長の鈴木康正氏は、ストレージ・グリッドの国内展開について「今秋から来年にかけて(ストレージ・グリッドを実現するゲートウェイ製品の)SpinServerを発売する。大規模なグリッド環境を備える大学と協力して検証したい」と述べた。
ネットワーク・アプライアンスのゲートウェイ・ビジネス・ユニット担当本部長兼バイスプレジデント ジェフ・ホーナング氏 |
ストレージ・グリッドはヘテロジニアス環境のストレージに対して、「グローバル・ネーム・スペース」の名の管理レイヤを設けることで、各ストレージのプロトコルやデータの属性の違いをクライアントから見えなくする技術。ストレージ・グリッドを構築することで複数のストレージを仮想的な1つのストレージに統合できる。ストレージ環境のスケーラビリティが向上し、データ移動や管理が簡単になる。ストレージ利用率も上昇し、システム全体のTCO削減につながるという。
ストレージ・グリッドのコア技術は、ネットワーク・アプライアンスが買収した米Spinnakerの技術。Spinnakerが開発した「SpinOS」は、異なるストレージ間の通信を行う「SpinNPプロトコル」を使ってヘテロジニアス環境のストレージを仮想的に統合する。米国では、すでにSpinOSを搭載したゲートウェイ製品「NetApp Filer」「NetApp gFiler」を販売している。NetApp製ストレージのほかに日立データシステムズ、IBMのストレージに対応している。今後、ヒューレット・パッカードやEngenioのストレージにも対応する予定。ホーナング氏は「SpinNPプロトコルを使うことで、クライアントから見るとマウントポイントを変更せずに、別々のストレージにアクセスできるようになる」と述べた。ストレージ・グリッドはデータセンターのような閉じた環境だけでなく、遠隔地に設置したストレージが含まれた環境でも構築できるという。
NetAppではSpinOSを、現在のNetAppのストレージOS「Data ONTAP」に統合していく考え。プライマリ・ストレージからニアライン・ストレージ、NASゲートウェイ、小規模向けストレージの主要製品すべてをストレージ・グリッドに対応させていく方針だ。
(編集局 垣内郁栄)
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