オープン化の反省から生まれた日立「BladeSymphony」ができること
2004/9/2
日立製作所はIAサーバとネットワーク・スイッチ、ストレージを1つの筐体に納めた統合製品「BladeSymphony」を9月1日、発表した。システム構築に必要な要素を統合することで運用の容易さや、リソースの割り当て、可用性が向上し、一般的なシステムと比較してTCOを最大40%削減できるという。日立製作所の執行役専務 情報・通信グループ長&CEO 古川一夫氏は「運用管理やシステム管理の複雑さ、業務継続性の保証がないなどいき過ぎたオープン化の反省として、垂直型の統合が求められている」と述べ、BladeSymphonyが顧客のニーズから開発した製品であることを強調した。
日立製作所 執行役専務 情報・通信グループ長&CEO 古川一夫氏 |
BladeSymphonyは筐体の上部からネットワーク部、ブレードサーバ部、ストレージ部の3つに分かれている。ネットワーク部には日立の「GS4000シリーズ」をベースにした内蔵LANスイッチ、ロードバランサを格納する。ブレードサーバ部は高さ10Uで、サーバモジュールを最大8枚納めることができる。サーバモジュールはXeonプロセッサを搭載した製品と、Itanium2プロセッサを搭載した製品の2つを用意する。サーバモジュールは1枚当たり2way構成。4枚のItanium2搭載サーバモジュールをSMP構成にして、1つの8wayサーバのように稼働させられる「サーバモジュール間SMP機能」がある。
ストレージ部は日立の「SANRISE9500Vシリーズ」をベースにしたRAIDディスクドライブと、ファイバチャネル・スイッチを格納する。Xeonのサーバモジュールが対応するOSはWindows Server 2003、Windows 2000、Red Hat Enterprise Linux AS 3。Itaniumのサーバモジュールは64ビット版のWindows Server 2003、Red Hat Enterprise Linux AS 3(IPF)が対応する。
BladeSymphonyはリソースの割り当てなどを行う運用管理ソフト「BladeSymphony Manage Suite」を搭載する。BladeSymphony Manage Suiteはサーバ、ネットワーク、ストレージの各システムを統合し、負荷の変化に応じて適切にリソースを割り当てることができる。また、日立の運用管理ソフト「JP1」と連携し、ポリシーによる運用の自動化や、障害発生時の迅速な原因究明を可能にする。
日立製作所が発表した「BladeSymphony」。筐体上部からスイッチ、サーバ、ストレージを収める |
価格はXeon搭載のサーバモジュールを2枚搭載した「部門システム向け構成」の場合で417万円から。2wayのItanium2搭載サーバモジュールを4枚搭載した「高性能データベース向け構成」の場合は4560万円から。2wayのXeon搭載サーバモジュールを4枚搭載する「データセンタ向け構成」の場合で8140万円からとなっている。Xeon搭載サーバモジュールを搭載したBladeSymphonyは2004年12月10日、Itanium2を搭載したBladeSymphonyは2005年3月に出荷開始する。
日立はBladeSymphonyの開発を3つのフェイズで考えている。第1フェイズは今回の発表で、サーバ、ストレージ、ネットワークの統合を提案した。第2フェイズは1年後を見込んでいて、動的ポリシー制御、トラブルに対するプロアクティブ機能強化など自動化・自立化の機能を向上させる。第3フェイズは2年後で、システムの従量課金対応などユーティリティ化を進める。日立製作所の情報・通信グループ エンタープライズサーバ事業部長 北野昌宏氏は「特に従量課金への顧客の期待が大きい」と述べ、CPUリソースを動的に可変させる「キャパシティ・オンデマンド」を検討していると説明した。
日立はBladeSymphonyを拡張し、Windows、Linuxプラットフォームの主力サーバとして育てる考え。日立のプラットフォームコンセプト「ハーモニアス・コンピューティング」の中核プラットフォームの位置づけで、小型メインフレームからのマイグレーション先としても利用していく。日立のIAサーバ、UNIXサーバ、メインフレームを使っている顧客のIT資産の統合を狙うが、多くのユーザー企業はさまざまなベンダの製品が混在するヘテロジニアス環境。ヘテロジニアス環境の企業に対して、システム統合のメリットや、スムーズな移行をどうアピールできるかがポイントになりそうだ。日立は今後2年間にBladeSymphonyで売り上げ1000億円、3000台の販売を目指す。BladeSymphonyの投入で現在、金額ベースで8%のブレードサーバの国内シェアを2006年度に25%まで引き上げるのが目標だ。
(編集局 垣内郁栄)
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日立製作所の発表資料
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