中堅企業の皆さん、「オラクルは高飛車ではありません」
2004/9/18
日本オラクルの執行役員 クロスインダストリー統括本部長 三澤智光氏は9月17日、同社の中堅・中小規模企業向けの戦略を発表した。営業の積極的なアプローチや製品の低価格化、導入のしやすさなどを訴求し、中堅・中小規模企業の売り上げを今年度に20%増加させると述べた。三澤氏は「オラクルにある高飛車のイメージを変えなくていけない。オラクルもかわいらしいと思ってもらいたい」と述べ、顧客の認識を変えることから始めると説明した。
日本オラクルの執行役員 クロスインダストリー統括本部長 三澤智光氏 |
オラクルは売上高によって顧客を分けている。オラクルが従来から強みを持っているのは年商3000億円以上の大企業の層で、オラクルは顧客はもちろん、顧客でない企業でもどのようなシステムを使っているか、ほぼ把握しているという。オラクルが中堅・中小規模企業と位置付けているのは年商300億円以上3000億円以下の層で、全国に4000社程度があるという。三澤氏によると、この層に対してオラクルは過去にほとんど直接営業を行ったことがなく、パートナーによる営業が中心だった。そのためオラクル自身がシステム内容を把握しているのは60%の企業でしかない。クロスインダストリー統括本部の160人の営業部隊が、この層に対して直接営業をかける。「今年度中に4000社すべてにアプローチする」(三澤氏)という。
もちろん、パートナーともこれまで以上に連携する。さらに年商300億円以下の企業に対してはオンラインのセミナーシステム「Oracle Direct」を使って効率的にメッセージを発信する。
中堅・中小規模企業市場の拡大を目指すオラクルにとって「最大のライバルはマイクロソフト」(三澤氏)。マイクロソフトのSQL ServerはWindowsをベースにした親しみやすいインターフェイスと中堅・中小規模企業のニーズに合致する適切な機能、低価格でシェアを伸ばしている。そのため、オラクルがまず取り組むのはオラクルのデータベースに対する顧客の認識を変えることだ。三澤氏は顧客のイメージとしてオラクルには「価格が高い」「使いにくい」「ベンダの顔が見えない」「コンタクト先がない」「大企業向け」などがあると指摘。これらは「ビッグアカウントにしか行っていないことの弊害」で、この認識を変えさせないと中堅・中小規模企業市場でのオラクルの躍進はないとの考えだ。
オラクルは、「Oracle Database 10g」「Oracle Application Server 10g」を「安い、速い、簡単」のキーワードで中堅・中小規模企業に売り込む。「速い」についてはオラクル製品は定評があるが、「安い、簡単」ではSQL Serverが上回るというイメージがあるとの認識。オラクルは10万円を切る価格の「Oracle Database 10g Standard Edition One」の発売などで、「高い」というイメージの払拭を図る。米オラクルも2004年9月7日に中小・中堅規模企業向けのアプリケーションサーバ「Oracle Application Server Standard Edition One」を発表するなど、低価格化戦略を採っている。同製品は国内でも販売を準備している。
「簡単」の訴求ではOracle Database 10gのインストールを簡略化した。インストールCDを1枚にし、20分でインストールできるようにした。インストール直後から「Oracle Enterprise Manager」によるGUIでの運用管理を可能にし、SQL Serverに対抗する。運用管理の自動化も進めて運用管理コストの50%削減が可能としている。日本オラクルのマーケティング本部 システム製品マーケティング ディレクター 杉崎正之氏は「おかげさまでOracle 10gは、Oracle9iと比較して70%以上の速さで市場に浸透している」と述べ、好調さを強調した。
(編集局 垣内郁栄)
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