SAPがRFID対応製品、海外は実績豊富だが国内は?
2004/6/10
SAPジャパンは無線ICタグ(RFID)で読み込んだデータをサプライチェーンシステム(SCM)で効率的に扱うためのパッケージ製品を6月中に出荷開始する、と6月9日に発表した。合わせてSCMソリューションの最新版「SAP SCM4.1」も発表。SAPジャパンのソリューション本部 拡張ERPソリューションズ ディレクター 塚越秀吉氏は、RFID対応のパッケージについて「基盤としてSAP NetWeaverを採用。従来のアプリケーションを変更せずにRFIDのデータを連携させることができる」と説明した。
シート状のRFIDを手にするSAPジャパンのソリューション本部 拡張ERPソリューションズ ディレクター 塚越秀吉氏 |
RFID対応パッケージはポータルやビジネス・インテリジェンス、Webアプリケーションサーバなど複数のミドルウェアで構成。その中心となるのがRFIDが読み込んだデータをERPなどのビジネス・アプリケーションで利用できるデータに変換する「SAP Auto-ID Infrastructure2.0」。SAP Auto-ID Infrastructure2.0はSAP NetWeaverに含まれるミドルウェアで、さまざまなRFIDやアダプタが出力するデータを適切に加工し、アプリケーションで利用できるようにする。
パッケージではオプション扱いながら塚越氏が「利用することで大きな効果が期待できる」と指摘したのがSAP SCM4.1で機能が強化された「SAP Event Management」。サプライチェーンの中で出荷/輸送プロセスのステータス管理や、生産プロセスの管理、検品プロセスの管理などを行う監視モジュールで、塚越氏は「サプライチェーンの中で“察知”の機能を提供する」と説明した。SAP製品を使った海外でのRFIDの事例では、90%以上のケースでEvent Managementが利用されているという。
また、SAP SCM4.1はサプライチェーンで他社とのパートナーシップ構築を支援する「SAP Inventory Collaboration Hub」(SAP ICH)の機能が強化された。仕入先、顧客の双方で利用できるXMLベースのWeb-EDIが構築可能になり、在庫の即納補充業務、入札や契約、出荷状況の一元管理を実現する。
SAPジャパンは、SAP SCM4.1の国内出荷を年内に10件、グローバルでは90件を目指すと説明した。RFID対応パッケージの出荷目標はグローバルで30件。SAPのRFID対応製品は、欧州最大手のスーパーマーケットチェーンであるメトロやフランクフルト空港で採用されるなど実績がある。一方、SAPジャパンはRFID対応パッケージの国内での出荷目標は示さなかった。RFIDの国内での利用は、電波法の規定でUHF帯を使うRFIDの利用が限られることなどから、欧米に比べて遅れ気味。電波法は2005年にも改正される見込みだが、それまでは大規模なRFIDの実利用は少ないとみられる。
(編集局 垣内郁栄)
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SAPジャパンの発表資料
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