NetApp社長に聞く、「NTTデータはなぜ出資したのか」
2004/9/25
日本ネットワーク・アプライアンス(NetApp)はNTTデータから5%の出資を受けたことを明らかにした。外資系企業が日本のシステム・インテグレータから出資を受けるのは異例だが、日本NetAppの代表取締役社長 鈴木康正氏は「5年に及ぶアプローチの結果。これまで入り込めなかった事業分野に入り込める」と述べ、日本での製品の普及につながると意気込んでいる。
日本ネットワーク・アプライアンスの代表取締役社長 鈴木康正氏 |
鈴木氏によると米NetAppとNTTデータは2004年7月、NTTデータが日本NetAppに5%出資することで合意した。NTTデータはシステムを構築する際に優先的にNetAppのストレージを使うことになる。HP-UXやAIX、Solaris、Linux、Windowsなどヘテロジニアス環境にあるNTTデータ社内の新規システムにもNetApp製ストレージを採用した。今後、NTTデータが強みを持つ公共や金融などの基幹系システムを中心にNetApp製ストレージを活用する。
鈴木氏によるとNetAppは1999年からNTTデータに対して関係強化を働きかけてきた。2002年にはNTTデータのエンジニアが渡米し、NetAppの顧客企業を訪問し、NetAppを組み込んだシステムの事例を見学した。これらの活動からNTTデータのNetApp製ストレージへの信頼が深まり、2002年10月にOracleデータベースを組み合わせた形でのNetApp製ストレージの共同検証が始まった。同年12月にはNTTデータが常設の検証センターを設立。UNIXサーバやIAサーバなどで詳細に検証が続けられた。2003年5月にはNTTデータ、日本NetApp、日本オラクル、NTTデータ先端技術の4社が提携。さらに2004年5月にはWindowsプラットフォームでOracle Real Application Clusters 10gとNetAppのiSCSIストレージを組み合わせたシステムを構築し、検証した。
鈴木氏はNTTデータとの共同検証について、「徹底的に検証し、ミッションクリティカルな業務に適合するかを調べた。日米のNetAppにNTTデータのための専任部隊を設置し、NTTデータからの問題修復に対する要求に、柔軟、迅速にこたえられるようにした」と説明した。
NetAppとNTTデータは今後、さらに検証を行って基幹系システムへのNetApp製ストレージの導入を試みる。鈴木氏は「NetAppからの期待は、NTTデータの顧客がレガシーシステムからオープンシステムに移行する際に、NetApp製ストレージを採用してもらうこと」と述べた。さらに出資を含めて提携したことで「市場へのインパクトも期待している。NTTデータに率先してNetApp製ストレージの事例を作ってもらうことで、これまで参入できなかった事業分野に入り込めると考えている」と語った。
一方、NTTデータ側から見るとNetAppと資本提携したことで、システム構築の際にストレージの構成をより自在にできるようになる。これまでのシステム構築では、ストレージ部分はストレージベンダが担当するケースがあり、ストレージ部分だけがシステムの中でブラックボックス化することがあった。しかし、NTTデータはNetAppと提携することでより詳細な検証が可能になり、ストレージの技術を取り込むことができたといえる。
ただ、提携したからといってNTTデータがシステム構築の際にすべてNetApp製ストレージを使うわけではない。鈴木氏も「システム構築のメニューに載っただけと考えている」としていて、「プロジェクトごとに詳細な検証が行われる。提携はエンドではなく、これで最初のスタートに立った」と述べた。
(編集局 垣内郁栄)
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