日本政府はなぜGSPに参加しないのか? マイクロソフト

2004/9/25

米マイクロソフトのTrustworthy Computing 最高責任者 スコット・チャーニー氏

 米マイクロソフトのTrustworthy Computing 最高責任者 スコット・チャーニー(Scot Charney)氏が来日した。同社が9月20日(米国時間)に発表した政府機関向けソースコード公開プログラム「Government Security Program」(GSP)に、日本政府が参加するよう要請するためとみられる。同社は2003年1月にGSPを開始し、政府機関を対象に同社製品のソースコードや技術情報を無償で開示してきた。すでにオーストラリア、中国、ノルウェー、ロシア、英国など30カ国以上がGSPに参加しているが、日本の参加はまだ。日本政府がGSPに参加しない理由についてコメントを求められたチャーニー氏は「逆にこちらが日本政府に聞きたい」とユーモアを交えて話した。

 今回の来日でチャーニー氏が訪問するのは、警察庁など、日本国内のサイバー犯罪を取り締まる関係省庁も含まれる。ニューヨーク州ブロンクスの地方検事補を経て、捜査局副局長から米国司法省犯罪検察部門でコンピュータ犯罪と知的財産権を担当する課の主任を務め、米プライスウォーターハウス クーパースの代表者からマイクロソフトのTrustworthy Computing 最高責任者となったチャーニー氏の来日は、セキュアなインフラを構築するための提案の1つとして、日本政府にGSPの説明を行うことである。

 ここでいうインフラとは同社によれば、「公共の安全保障」「国家の安全保障」「経済の繁栄」というスケールの大きなものである。同社では特に「重要インフラ」という言葉を使う。そして、日本だけではなく、世界各国の「重要インフラ」の保護を行うには「公的機関と民間組織の協調、ならびに国際的なコラボレーションが必要」だとする。ITという側面から見た国家戦略策定のプレーヤーとしてマイクロソフトが絡むこと、その1つのアプローチが、政府機関向けにソースコードを公開するGSPだということになる。

(編集局 谷古宇浩司)

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