[Interview] カスタマー・インテリジェンスはCRMを超えた価値を提供する
2004/10/9
SAS Institute Japan(以下SAS)は10月7日、マーケティング活動における分析、実施、効果測定を支援する分析/管理ソフトウェア「SAS Marketing Automation 4.1」(以下Marketing Automation)の出荷を発表した。
SAS Marketing Automation 4.1のキャンペーン管理ツール画面(画面拡大) |
Marketing Automationは、同社が3月に発表したBIプラットフォーム「SAS 9」上で稼働するアプリケーションで、7つ計画されているものの最初のリリースとなる。SAS Internationalのカスタマー・インテリジェンス担当 副社長 フィル・ウィンタース(Philip J. Winters)氏は、「Marketing AutomationはいわゆるCRM以上のものであり、ビジネスのためのマーケティングツールだ」と、新しい価値の提供を訴えた。
そのウィンタース氏と、SAS Institute Japan代表取締役社長の堀昭一氏に、BIを成功させるポイントについて聞いた。
――ビジネスインテリジェンス(BI)、カスタマー・インテリジェンス、マーケティング・オートメーションと、3つの用語で戦略や製品を説明されています。あらためてそれぞれの言葉を定義してください。
SAS International カスタマー・インテリジェンス担当 副社長 フィル・ウィンタース氏 |
現在のBIの状況は10年前のERPに似ています。当時の情報部門は個々の業務ごとにアプリケーションを運用していました。しかし、それを統合パッケージのERPにすることでメリットが得られる、ということをITマネージャの方々は経験しています。それと同じことがBIの分野でも起こるでしょう。ETL、統計、分析、レポートなど別々のツールで行っていたことは、SAS9のようなBIプラットフォームに統合されていくと思います。われわれはこれを「インテリジェント・エンタープライズ」と読んでいます。
マーケティング・オートメーションとは、このBIプラットフォームであるSAS9上で稼働するアプリケーションの名称です。
カスタマー・インテリジェンスは、顧客データの分析からフィロソフィーを得ることで、いわゆるCRMとは異なります。分析によりインテリジェンスを作り出し、それを基にマーケティング活動をしていくことで、企業の成功を目指します。SASはここにフォーカスしています。
――SAS9やMarketing Automationのようなアプリケーションを活用するには、情報部門とマネジメント層、そして現場の協力が不可欠です。しかし実際にはこれらの協調はうまくいかないケースもよくあります。成功のポイントはどこにありますか?ウィンタース氏 2つのキーポイントがあります。1つは、ITマネージャがコストだけでなくビジネスの価値をよく理解していること。そしてもう1つは、関係者が皆、共通の目的に向かうことです。
古い文化を持つ企業は、IT部門はソフトウェアを集めることに終始し、ユーザー部門は問題があると責任をIT部門に押しつけようとします。しかし、ビジネスの問題にフォーカスすること、これは両者とも無視できない領域です。ここに絞ってIT部門とユーザー部門が同じ土俵に乗り、そこにわれわれのベストプラクティスによる問題解決を提案していくことで協調して取り組むことができるようになるでしょう。
SAS Institute Japan 代表取締役社長 堀昭一氏 |
――BIのようなエンドユーザーが直接利用するツールには、顧客が自分のビジネスに合わせてカスタマイズしたいというニーズがあります。Marketing AutomationやSAS9では、カスタマイズにはどう対応していくのでしょうか。
ウィンタース氏 われわれは政府や企業や教会といったあらゆる業種、業態の経験を持っていて、それを製品に反映しています。ですから、標準状態の機能やユーザーインターフェイスは、大多数の利用者にとって適合するものです。とはいえ、確かにカスタマイズのニーズは存在します。
Marketing AutomationはSAS9をプラットフォームに開発されていますから、ユーザー自身で、われわれと同じツールを使ってMarketing Automationをカスタマイズ可能です。また、カスタマイズしたものを購入することも可能です。
堀氏 日本では特にカスタマイズの要求は多いといえます。あるお客様は、180ものカスタマイズを希望していました。そこでとった方法は、標準となる5つの画面を基に18のカスタマイズ作業をSASとユーザーが一緒に行いました。そして残りはユーザー自身でカスタマイズしていく、というものです。
ウィンタース氏 顧客が何を必要としているのか、という問題を解決していくのにわれわれがベストプラクティスを持って手伝えるのは、非常にうれしく思います。
(編集局 新野淳一、鈴木崇)
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