日本の“はんこ”のようになりたい、リバティ・アライアンス
2004/10/19
リバティ・アライアンス・プロジェクトに新設されたエグゼクティブ・ディレクターに就任したドナル・オーシェ氏 |
リバティ・アライアンス・プロジェクト(Liberty Alliance Project)は10月18日、エグゼクティブ・ディレクターにドナル・オーシェ(Donal O'Shea)氏を任命した。そのほか、新たに7社が新規加盟し、会員数が161社に拡大したと発表した。
リバティ・アライアンスはサン・マイクロシステムズやソニー、アメリカン・エクスプレスなど、ベンダやユーザー企業が共同で2001年9月に設立した非営利団体。ネットワークの利用履歴から個人を特徴づけるものを「アイデンティティ」と定義し、アイデンティティの認証製品とネットワーク機器をサポートするオープンな技術仕様の開発を目的としている。
2002年7月には、Webサイト上でシングル・サインオンを実現する「フェーズ1」を発表。2003年11月にはWebサービス技術を利用し、さらにシングル・サインオン技術を拡張した最新仕様「フェーズ2」を発表している。日本では、フェーズ1の「リバティ・アイデンティティ連携フレームワーク」(ID-FF)を利用したシングル・サインオンサービス「マスターID」が、NTTコミュニケーションズより提供されている。
リバティ・アライアンスの運営はスポンサー企業15社からなるマネジメントボードが行っており、現在のマネジメントボード議長はアメリカン・エクスプレスのマイケル・バレット(Michael Barrett)氏。ただし、バレット氏をはじめリバティ・アライアンス関係者はすべて本来の会社に所属しており、兼業でリバティ・アライアンスに携わっている。それに対して今回エグゼクティブ・ディレクターに任命されたオーシェ氏は、リバティ・アライアンス専任で業務を行う初の役職者となる。
オーシェ氏は、リバティ・アライアンスの啓蒙活動を世界各国で行うほか、会員企業の拡大やエンドユーザーからのニーズを聞き出し、仕様とビジネスガイドラインの開発に生かす、といった活動を行う。同氏は今後の活動について、「リバティ・アライアンスはアイデンティティや認証情報を守りつつ、日本の“はんこ”のように便利に利用できるように制定していく。日本では、今後特にコンピュータ業界や金融業界、ゲーム業界を中心に参加企業の拡大を目指していきたい」と抱負を語った。日本ではそのほか10月11〜15日にかけてお台場で「かつてないほど大規模」(オーシェ氏)な相互運用性・適合性試験を実施したという。
新たに加わった新規企業は、米アドビ システムズなど7社。アドビは同社の製品をリバティ・アライアンスの仕様に準拠することで、ドキュメントのセキュリティ強化やプライバシー保護にかかわる法令や規制を遵守したドキュメントサービスを提供していくとしている。
リバティ・アライアンスの駒井義憲氏は日本での活動状況について、「日本独自の法律、例えば個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)などに沿った独自仕様の制定なども行っていきたい」と説明。最近の導入事例として駒井氏が挙げたのは、NTTデータのイントラネットとJALのオンライン予約/発券システムがID-FFを利用して連携し、出張時の申請から旅費の支払いまでをシングル・サインオンで可能にした、というもの。
日本における今後の活動については、デジタルTVにリバティ・アライアンスの仕様を適用していきたいという。具体的には、パーソナルデジタル録画機器(PDR)を活用したサーバ型放送技術の標準化団体「TV Anytime」との連携によるデジタルTV向けの仕様策定や、リバティ・アライアンスのIDフレームワークの適用可能性などを検討していきたいと語った。
(編集局 大津心)
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リバティ・アライアンス・プロジェクト
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