[eWEEK] Liberty AllianceがPassportに白旗?

2002/12/14
by Peter Galli and Dennis Fisher

 Liberty Alliance認証プロジェクトのメンバー間で深まる溝が、同技術の将来に疑問を投げかけつつある。Passportサービス(マイクロソフト)との競争が厳しさを増す中で、Liberty Allianceのシングルサインオン技術のターゲットはいったいどこなのか? というのがこの問題の核心だ。

 Liberty Allianceを設立し、主催するサン・マイクロシステムズの関係者からは先週、WindowsプラットフォームにおいてPassport認証サービスに敗北したことを認める発言まで飛び出した。カリフォルニア州メンローパークにあるサンのソフトウェアグループ担当執行副社長、Jonathan Schwartz氏は、「Windowsプラットフォーム市場で同社に対抗することは不可能だ。マイクロソフトはこの市場をしっかりと握っている」と語った。

 Schwartz氏は、「Liberty側が対抗するにはまず、マイクロソフトのソフトウェアをベースとしないスマートフォンなどの新しいパーベイシブ・コンピューティングクライアントが登場する必要がある」と語る。このようなデバイスが企業や家庭のユーザーに代替認証手段を提供することで、Libertyの真価を発揮するチャンスが出てくるのだという。さらにSchwartz氏は、「Windowsプラットフォーム以外のパーベイシブクライアントが登場するのは遠い未来の話ではないと思う。カラー画面とキーボード、カメラまで付いた最新の携帯電話をご覧になったことがあるだろうか? パーベイシブコンピューティングクライアントはこのような方向に沿って、さらに進化していくだろう」とし、市場環境が整うのを待つ姿勢をみせた。

 だが、Liberty Allianceのほかの関係者は、LibertyとPassportの力関係についてサンとは違う見方をしている。ユタ州プローボに本社を置くノベルのディレクトリサービス担当チーフストラテジスト、Justin Taylor氏は、「マイクロソフトに対して敗北を認める必要は全くない。Libertyの方がPassportよりも企業ユーザーのニーズをよく理解している。マイクロソフトはエンタープライズ市場への参入を試みているが、この分野ではわれわれの方が強いと思う」と語る。

 Libertyの別の有力メンバーによると、Windowsプラットフォームでは確かにマイクロソフトがリードしているかもしれないが、エンタープライズ市場ではPassportはニーズを十分満たしていないという。

 マサチューセッツ州ウォルサムのセキュリティベンダ、NetegrityのCTO(最高技術責任者)、Deepak Taneja氏は、「シングルサインオンの真価は クロスプラットフォームでのクロスドメインのやりとりであり、この分野に関してマイクロソフトは手も足も出せない。実際のところ、Passportは今のとこ大失敗だと思う。マイクロソフトは数千万人のPassportユーザーを獲得したが、それは(Passportの)使用を強制したからに過ぎない」と語った。

  さらにTaneja氏は、「私はLibertyがこれらの問題をすべて解決してくれるとは言わない。しかし、Libertyがフォーカスしているのは異機種混在環境であり、この分野ではマイクロソフトよりもLibertyの方に大きなチャンスがあるだろう。Libertyはこれからの技術であり、開発には予想よりも時間がかかっている。サンは単に現時点でのLibertyへの過度な期待を抑えようとしているだけなのかもしれない」とした。

[英文記事]
Liberty Alliance Waves White Flag at Passport

[関連リンク]
Liberty Alliance Project

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