セールスフォース・ドットコムが最新CRMを発表
2004/11/5
米セールスフォース・ドットコムは11月2日(現地時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコで11月1〜5日にわたって開催しているユーザーカンファレンス「DreamForce 2004」において、同社製品の最新版にあたる「Winter '05」を発表した。
SFA(Sales Force Automation)アプリケーションをASP(Application Service Provider)ベースで提供するベンダとして1999年にスタートした同社は、年3回ペース(当初は年4回)で新機能追加や機能強化を繰り返すことで、SFAとCRM(Customer Relationship Management)分野をカバーする一大企業として成長してきた。そして、今回の「Winter '05」は17回目のリリースに当たる。
米セールスフォース・ドットコム会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏。同社は2004年6月にIPOを成功させており、現在投資家をはじめ、業界各方面からその成長性で大きな注目を集めている |
基調講演で壇上に立った同社会長兼CEOのマーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏は、「皆さまからのフィードバックが次の製品を作る。いままでの成果が17世代にわたるバージョンアップに集まっている」と、ユーザー・ニーズ主体の戦略が現在のセールスフォース・ドットコムの原動力となっていることを強調した。同氏は続けて「これまでのASPでは実現できなかった柔軟なカスタマイズ機能などはその好例だ。今回のWinter '05では、カスタマイズ機能の強化を中心に、『Best-of-Breed』(最高品質)なCRMソリューションとインフラ、ユーザーの成功体験を、世界中のすべてのユーザーに平等に届けていく」と述べた。
Winter '05では、既存4製品「Salesforce.com」「Supportforce.com」「Customforce.com」「Sforce」のアップグレードが行われている。CRMアプリケーションのSalesforce.comでは資産管理機能などが、顧客向けサービス機能を集めたSupportforce.comでは各社CTIとの連携を実現するSTAPI(Sforce Telephony API)ツールキットの対応などが行われている。また両製品共通の強化点として、下記のCustomforce.com対応とSforce 5.0対応が行われている点が挙げられる。
カスタマイズ機能を提供するCustomforce.comでは、「タブ」「フィールド」「レイアウト」「レポート」「ワークフロー」「オブジェクト」「コントロール」の7項目について柔軟なカスタマイズが可能となっている。そして、これらを束ねるのが統合プラットフォーム環境を提供し、「オン・デマンド」のインフラの根幹を成すSforce 5.0である。同社では、Sforce 5.0をベースに、ユーザー独自の環境を構築できるCustomforce.com、アプリケーション・モジュールとしてのSalesforce.comとSupportforce.comという形式で、ASPによるオン・デマンド・モデルを3階層で表現している。
同社の強みの1つは、これらアプリケーションを世界11カ国に同時リリースする点である。同社のアプリケーションは、企業規模や地域にかかわらず、すべて平等に同時にアップデートが提供されるようになっている。エンタープライズ・アプリケーション特有の市場に新旧の複数バージョンが残ってしまう問題や、言語によってリリース・タイミングがまちまちになるという問題を解決している。世界中のすべてのデータは、同社のデータセンターで一括して管理され、専門スタッフによって24時間365日体制で安定した運用が行われることで、運用に関するトラブルを最小限に押さえ込んでいるのだ。
さらにセールスフォース・ドットコムは、「On-Demand Marketplace」と呼ばれる、Sforceを使った60以上の成功事例を収めたサイトを公開した。同社はこれ以外にも「CRMSuccess.com」というユーザー・コミュニティ・サイトを立ち上げており、ユーザー事例や各種ナレッジの共有化で、アプリケーションのより高度な活用を啓蒙していく考えだ。
(鈴木淳也/Junya Suzuki)
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