モデリングツールは利用シーンで使い分ける、ボーランド

2004/11/30

ボーランド マーケティング部 部長 藤井等氏

 ボーランドがUMLモデリングツールのブランド「Together」の製品ラインアップを一新した。新たなラインアップでは、想定利用者を「アーキテクト」「アナリスト」「デベロッパ」の3層に分け、これらの想定利用者に最適な機能を製品に搭載した。Together自体はUMLモデリングツールだが、開発工程の段階(開発担当者)によって必要な機能が異なるという現実があった。つまり、分析・設計段階で必要となる機能と実装段階で必要となる機能は異なるのである。そのため、同社 マーケティング部 部長 藤井等氏は「開発プロジェクトチームの役割に応じて必要な機能を搭載した」とし、開発現場の細かいニーズに応えたことを強調した。

 デベロッパ向けの「Together Developer」(以下Developer)は、ボーランドの統合開発環境「JBuilder 2005」のプラグインとして提供する。JBuilderの環境で動作することからも明らかなように、DeveloperはJavaでの開発を想定したUMLモデリングツールである。Developerのユニークな点は、主に実装工程に従事する開発者が、コードとモデル図(UML)とのリアルタイムな同期を行いながら開発作業を進めることを想定している点にある。いわゆる「コード指向」の開発に必要なモデリングにかかわる機能をプラグインとして提供するものとなっている。なお、DeveloperはEclipseとVisual Studio向けのプラグインとしてもリリースしている。

 分析・設計工程におけるビジネス・モデリングでの活用を想定しているのが「Together Designer」(以下Designer)だ。主に「アナリスト」を想定利用者としている。Designerはプラットフォーム独立型のUMLモデリングツールという位置付けであり、「一般的にいわれる意味でのUMLモデリングツールというイメージに近い」(藤井氏)。UML2.0の仕様に対応しており、OCLもサポートしているため、詳細かつ厳密なUMLモデル図の記述が可能となる。

 「アーキテクト」向けの「Together Architect」(以下Architect)は従来の「Together ControlCenter」の後継製品である。アプリケーションの分析や設計、実装、テスト、配布までを単一環境でサポートする。いわば、Togetherの機能をすべて搭載した製品ともいえるが、厳密な意味でモデル指向開発プロセスを実現するツールにまでは成熟していない。

 OMG(Open Management Group)では、UMLで記述したビジネス・モデルをプラットフォーム(開発言語も当然含む)を問わず、自動的にコード変換するための標準仕様を策定している最中だ。この標準仕様が確定しなければ、Architectが本当の意味でMDAツールと名乗ることはできない。だからこそ、DeveloperとDesignerという2つのTogetherエディションが存在するともいえる。ビジネスモデルとコードの「溝」はなかなか埋まらないようだ。

(編集局 谷古宇浩司)

[関連リンク]
ボーランドの発表資料

[関連記事]
「開発者への道しるべを目指す」と米ボーランド (@IT News)
開発はスピード、コスト、コントロール支配の時代へ、米ボーランドCEO (@IT News)
コードネーム"Galileo"は来期に持ち越しか、ボーランド (@IT News)
.NETとJ2EEの共存時代へ、ボーランド (@IT News)
IPv6対応のCORBA技術を基盤に、ボーランドの新APPサーバ (@IT News)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)