これからは基幹系もLinuxに、ミラクル・リナックス
2004/12/17
ミラクル・リナックスは12月16日、インテルの「Extended Memory 64 Technology(EM64T)」や、AMDの「AMD64」などの64ビットCPUに対応したLinux OS「MIRACLE LINUX V3.0 -Asianux Inside for x86-64(以下、64ビット対応MIRACLE LINUX)」を2005年2月28日より出荷開始すると発表した。また、2005年1月1日よりサポートプログラムを改定し、サポート期間を6年間から7年間に延長するほか、ダンプ解析など障害対策を追加した「エンタープライズ・サポート」を開始する。
ミラクル・リナックス 代表取締役社長 佐藤 武氏 |
ミラクル・リナックスは日本オラクルの子会社であり、Oracle製品用にチューニングを施したエンタープライズ向けLinuxを開発している。2003年より、日本オラクルと共にアジア戦略を強化し、2004年5月に発表した32ビット版の「MIRACLE LINUX V3.0」は、同社が中国企業と共同開発したLinux OS「Asianux v1.0」がベースとなっている。
今回発表された64ビット対応MIRACLE LINUXは、ミッションクリティカル市場向け。そのため、ユーザーアプリケーションやカーネルが利用できる仮想メモリ空間が32ビット版の4Gbytesから、それぞれ512Gbytesに拡大。巨大データベースシステムやJavaを中心としたアプリケーションサーバ、テラバイト級のファイルサーバなどでの利用を想定しているという。また、既存の32ビットアプリケーションに対応するためIA-32互換モードを搭載している。ミラクル・リナックス コアテクノロジー部部長の伊東達雄氏は「IA-32互換モードでも、ネイティブ32ビットと同等の性能を実現した。Itanium2のIA-32互換モードは非常に遅いといわれているが、当社は違いがわからないほど早い」と自信を見せた。そのほか、UNIXやWindowsからのマイグレーションを想定し、文字コードの「シフトJIS」に対応した点や、Samba+OpenLDAP連携などの機能も用意している。
ミラクル・リナックス代表取締役社長の佐藤武氏は、「従来のOSは、ハードウェアがここまで急速に性能を上げるとは想定しておらず、OS側が対応しきれていなかった。今回の64ビット版ではハードウェアを買い換えることなく、OSを入れ替えるだけで性能向上が図れるため、コスト面でも有利だ」と強調している。
また、ミッションクリティカル市場へ参入するためには、サポートの強化が必須と判断。サポート期間を従来の6年間から7年間へ延長した。また、サポートカテゴリを再編し、年間サポートにダンプ解析など、高度な障害対策に対応した「エンタープライズ・サポート」のメニューを追加。そのほか、Linuxの中級ユーザー向けに、年間サポートに加入していなくても1回限りでサポートを受けることができる「1ショットサポート」のメニューも追加している。事前申し込みが必要なものの24時間365日サポートも実施する。
ミラクル・リナックス プロフェッショナルサービス部部長の小田切耕司氏は、「ミッションクリティカル市場からの要望が強かったことから、従来は個別見積もりで対応していたダンプ解析をメニュー化した。50万円という価格は破格だと考えている。また、当社ではサポートを別売りにしているため、サポートの必要がないLinux中級ユーザーは運用コストを削減できるだろう」と語った。
最後に佐藤氏は、「Solaris 10の無料化は、UNIXからLinuxへのマイグレーションが止まらないことへの恐怖の表れだと感じた。今後は、ミッションクリティカル市場においても、UNIXからLinuxへの変換が起きると予測している。エッジだけでなく、基幹系においてもシェア拡大していきたい」と抱負を語った。
(編集局 大津心)
[関連リンク]
ミラクル・リナックス報道発表資料
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