アプリケーションサーバからみるオラクルの戦略

2004/12/17

 日本オラクルは12月16日、アプリケーションサーバ「Oracle Application Server 10g Release2」を2005年春ころにリリースすると発表した。データ統合、ビジネスプロセス統合、Webサービス統合の3つの新機能を搭載した。同社にとってアプリケーションサーバは、データベースとERPなどのアプリケーション(およびビジネスプロセス)を接続するプラットフォームとしての位置付けである。競合製品(WebSphere、WebLogic)との差異をSuite性(同社は管理ツールや分析ツール、開発ツール、ディレクトリサーバなどもラインアップに持つ)に求める同社が目指すのは、ミッションクリティカルシステムの支配である。ピープルソフトの買収が成功したことで、このビジョンがいよいよ現実のものとして動き始めたというわけだ。

日本オラクル マーケティング本部 システム製品マーケティンググループ 担当ディレクター 西脇資哲氏

 新たに搭載したデータ統合機能「InterConnect」は、一方のシステムで投入したデータを他方に反映し、使用する場合に活用する。例えば、CRMシステムとERPシステム間の顧客データを連携させるなどの用途が想定できる。

 企業間接続を実現する「Integration B2B」は取引先企業とのビジネスプロセスの統合機能を提供する。このために各種のアダプタを用意する。アプリケーション連携のアダプタとしては「SAP R/3」用、「Siebel 2000」用、「PeopleSoft 8.x」用などがあり、レガシーシステムとの連携のためには「IMS/DB」用、「IMS/TM」用、「CICS」用などを用意する。RosettaNetアダプタもある。
 
Webサービスレベルの統合には「Oracle BPEL Process Manager」機能を利用する。ピュアBPEL1.1をサポートするBPELエンジンであり、開発環境「JDeveloper10g」と統合している。

 競合他社と同様、オラクルもRelease2リリースにおいてSOAサポートを全面に押し出している。今回のインテグレーション技術の投入によって同社はSOAのすべてのフェイズが統合したとする。このことは、開発環境(JDeveloper10g)や管理ツール(Oracle Enterprise manager10g)、Oracle EBS(E-Business Suite)、データベースである「Oracle 10g」などの製品群がSOAというシナリオの構成要素として(同社にとって)無理のない位置付けを確保できたということを意味する。なお、Release2ではRFID(Oracle Sensor Edge Server)の大幅な機能拡張も行っている。

 今回リリースするインテグレーション製品のライセンス価格は250万円(プロセッサ)。日本オラクル マーケティング本部 システム製品マーケティンググループ 担当ディレクター 西脇資哲氏は「競合製品は1000万円を超える。コストパフォーマンスが違う」と話す。

(編集局 谷古宇浩司)

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