サンのSolaris 10戦略は「Linuxはお友達、レッドハットは叩く」

2004/12/18

 サン・マイクロシステムズは12月16日、新OS「Solaris 10」のx86向け戦略を説明するイベント「Solaris 10 Developer Meeting for x86 Solution」を開催した。プロダクトマーケティング本部の高松新吾氏は「Solaris 10はこれから10年くらいIT業界のトップに君臨する。ほかのOSとは比較にならない世界一のOSだ」とぶち上げ、新OSの特徴を説明した。

Solarisの新しいロゴが付いたTシャツを着るサン・マイクロシステムズ プロダクトマーケティング本部の高松新吾氏

 高松氏はSolaris 10の特徴として、x86向け、SPARC向けを同じソースコードから開発されたことを挙げた。サンがSPARCと同様にx86を重要なプラットフォームと位置付けていることを示している。Solaris 10の競合としてサンが意識するのは、従来のIBM AIXやHP-UXなどのUNIXと、x86プラットフォームで稼働するWindowsやLinuxだ。

 高松氏は「Beat Windows and RedHat」というキーワードを挙げて、「サンが叩くのはWindowsとレッドハット。マイクロソフトを叩くのでありません。Linuxはお友達です」と述べた。提携しているマイクロソフトとは友好関係を続けるが、競合製品のWindowsは別、Linuxはコミュニティも含めて良好な関係を築くが、ディストリビュータのレッドハットはライバルという考えだ。

 サンはSolaris 10でLinuxの顧客を奪う考えだ。Solaris 10のアップデート版にはLinuxのアプリケーションをネイティブで稼働させられるソフトウェア「Project Janus」を搭載する予定。「Solaris 10のカーネルがネイティブでLinuxをサポートする」技術で、「Linuxアプリケーションによっては(Linuxネイティブよりも)より高速にSolarisで実行される例がある」(サン・マイクロシステムズ 東京ソフトウェア本部 本部長 大曽根明氏)。ただ、サンでは「あくまでもSolarisのアプリケーションを使ってもらいたい」としていて、Project JanusはLinuxからSolarisへの移行を検討する顧客のための「トランジションのツール」としている。

 高松氏はさらにSolaris 10の特徴として「Solarisコンテナ」を説明した。SolarisコンテナはOS内にコンテナと呼ばれる複数の独立したパーティション(論理空間)を作成でき、1つのマシン上で同時にいくつものSolaris 10を稼働させられる機能。それぞれのパーティションは独立しており、特定のパーティションだけ再起動といったことができる。また、Solaris 10の「ダイナミックトレース機能」(DTrace)は稼動中のアプリケーションの状態をリアルタイムに把握し、パフォーマンスチューニングができる機能。高松氏は「Solaris 10は600以上の機能が追加された」と説明し、アップグレードのメリットをイベントの参加者に訴えた。

 Solaris 10は64/32ビット互換プロセッサの「AMD Opteron」「Intel EM64T」に完全対応した。サンは特に2003年に提携したAMDとのパートナーシップを重視。サンのクライアント・ソリューション統括本部 執行役員 植松裕次氏は「Solaris 10とAMD Opteronの組み合わせでいままで以上のパフォーマンスが出せる。あるエリアではSPARC以上のトータルの価値を引き出せるだろう」と語った。

(編集局 垣内郁栄)

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