外資の中堅市場進出に国内ベンダはどう対抗するか

2004/12/23

 2004年は外資のアプリケーションベンダが中堅企業開拓を積極的に進めた年だった。特にSAPジャパンが2004年6月に出荷開始した中堅中小向けERPパッケージ「SAP Business One」は、価格を10ユーザー280万円からに設定し話題を呼んだ。

SSJ マーケティング本部 商品企画グループ 山下武志氏

 現在、中堅向けERPの市場は国内ベンダが優勢だが、外資ベンダの攻勢で業界地図が塗り換わることも考えられる。中堅向けERP「SuperStream」で3500社以上の導入実績があるエス・エス・ジェイ(SSJ)のマーケティング本部 商品企画グループ 山下武志氏は「SSJの主戦場にさまざまな製品が登場し、選択の幅が広がるのは顧客にとっていいこと。そこで顧客に選んでもらうにはいま求められものを見極めて、製品、サービスに盛り込む必要がある」と語る。

 SuperStreamは財務会計・人事/給与をターゲットにしたERPパッケージ。山下氏は外資系ベンダに対するSuperStreamの強みとして「各国の文化が根強く残る財務会計・人事/給与に最適化していること」と説明した。海外で開発された外資系ベンダのERPでは国内の商習慣に適合させるのは難しく、カスタマイズのコストもかかるとの考えだ。

 ERPのシステム構築では、標準パッケージに機能を追加するカスタマイズ作業が最もコストがかかるといわれる。それはSuperStreamでも同様。「パッケージ自体の金額よりもシステム・インテグレーションの価格が大きいことがある」(山下氏)。SSJではパッケージの基本機能は変更せず、ユーザーのインターフェイスだけを使いやすく変更する方法で対応し、カスタマイズのコストを抑えている。SuperStreamの約70社の販売パートナーも独自に導入ツールやテンプレートを用意し、低コスト、短期導入を実現している。SSJによるとSuperStreamの導入期間は平均3カ月だという。

 SuperStreamは来年度も継続的に機能を追加していく方針。追加する機能の1つは2005年度からすべての上場企業に強制導入される減損会計への対応。会計制度は頻繁に変更されるため、ベンダはモジュールをいかに迅速に対応させるかが競争力強化のポイントになる。山下氏は「減損会計に関しては来年度の機能追加でほぼ充足できる。それ以外にも何点かの機能追加を考えている。それなりにインパクトはある」としている。

 山下氏は中堅企業のERP利用について、「まだ使っていない企業は多い。もちろん、オフコンなどレガシーなシステムで使っている顧客が多いのが現状。初期のERPを導入し、活用し切れていない顧客も多い」と指摘。そのうえで山下氏は「SuperStreamはかなり熟成してきたパッケージ。われわれやパートナーからいろいろなノウハウを提供可能で、レガシーなシステムを使っている顧客に対して販売したい」と拡販に意欲を見せた。

(編集局 垣内郁栄)

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