松下電器がIT基盤を共通化、「経営は分権、ITは集中管理」

2005/1/12

 松下電器産業は全社のIT基盤を共通化し、現場の生産性を向上させることなどを柱とする2005年度の経営戦略を1月11日に発表した。生産性向上による“現場力”の強化で、他社商品と差別化でき、高いシェアを獲得する“V商品”を67件生み出し、1兆5000億円の販売を目指す。

松下電器産業の社長 中村邦夫氏。会見は大阪会場で行われ、東京会場に中継された

 松下電器は2006年度に営業利益率5%以上を獲得し、2010年に世界トップの製造業企業になる道筋を確保するという中期経営計画「躍進21計画」を策定し、2004年度から実行している。同社 社長の中村邦夫氏は2004年度について、「構造改革、強い商品の連打、松下電器と松下電工のコラボレーションなどで成果が上がった」と総括した。しかし、2004年度下期から原油、材料、円高のトリプル高で「経営環境が一変した」と指摘。2004年度第4四半期は「デバイスを中心に厳しい環境になっている」と述べた。

 松下電器は2005年度の電機業界の世界需要について前年度割れのマイナス1%になると予測。2004年度の10%成長から一挙に逆風になるとみている。松下電器はこの厳しい環境に対応するため、生産現場の革新を2005年度も進める考え。中村氏は「技術立社・知財立社の実現に向けての取り組み、IT革新を加速する。2005年度は地に足を付けて成長戦略を加速する」と強調した。

 具体的には全社のIT基盤を標準化、共通化する「経営ITアーキテクチャ」を推進する。IT基盤を標準化することで経営のスピードアップや変化対応力の強化、情報システムのコスト削減を狙う。「経営は分権、ITは集中管理」が松下電器が進めるIT革新のキーワードだ。生産革新も続けて、国内工場の在庫半減や工場在庫1日以下の「モデル工場」の設立を推進するという。

 研究開発では自社商品の競争力をアップする「ブラックボックス技術」の開発を強化する。商品ライフサイクルの短期化に対応し、開発効率の向上も図る。また、「技術創造・革新全社プロジェクト」を策定し、全社のエンジニア人材と費用構造を数値をすることを検討。中期的には「研究開発費と営業利益率とがバランスするようにする」としている。

(@IT 垣内郁栄)

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松下電器産業

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