デジタル家電“当確”の鍵は相互接続性、インテル
2004/7/13
インテルはデジタル家電開発者向けのセミナーを7月12日に開催した。基調講演を行った米インテルのデジタルホーム・マーケティング&プランニング ディレクター ビル・レジンスキイ(Bill Leszinske)氏は「デジタル家電は大きなエコシステムを提供する。成功の鍵はデバイスやコンテンツのインターオペラビリティ(相互接続性)だ」と指摘し、業界での標準作りが重要との認識を示した。
米インテル デジタルホーム・マーケティング&プランニング ディレクター ビル・レジンスキイ氏 |
デジタル家電の相互接続性に関する組織としてはインテルやマイクロソフト、松下電器産業、ソニーなど世界の主要ITベンダが設立した「デジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス」(DLNA)がある。DLNAは2003年6月に設立された「デジタル・ホーム・ワーキング・グループ」を改名した組織で、14カ国145社が参加している。
DLNAは2004年6月にデジタル家電を相互に接続し、1つの家電で入手したコンテンツを別の家電でも自由に再生できるようにするためのガイドライン「ホーム・ネットワーク・
デバイス・インターオペラビリティー・ガイドラインver.1.0」を発表した。レジンスキイ氏はDLNAのガイドラインを「スタンダード技術をベースにスタックを構築する」と説明。ガイドラインはネットワークにイーサネット、無線LANのIEEE802.11a/b/gを指定し、ネットワークプロトコルにはIPv4、デバイスコントロールにはUPnP AVなどを使うように定めている。
インテルはDLNAのガイドラインをベースに、インテルのプラットフォームに則った相互接続性の高いデジタル家電を開発するためのガイドライン「NMPR」 (Networked Media Product Requirements) を2003年9月に発表し、デジタル家電の各ベンダに採用を呼びかけている。レジンスキイ氏によるとNMPRは「DLNAのスーパーセット」の位置付けで、インテルではNMPRに準拠した適合性テストツールや、相互接続性のテストツールなどを配布している。
しかし、2003年9月に発表されたNMPR v1.0はあくまでも相互接続性を高めるためのフレームワークを示すドキュメントで、「具体的なデバイスの実装やユーザー・インターフェイス、APIには踏み込んでいない」(米インテル シニア・テクニカル・マーケティング・エンジニア ラス・キャンベル[Russ Campbell]氏)。さらにデジタル家電に相互接続性を持たせるうえで重要になるコンテンツの著作権保護についても規定がなかった。
そのためインテルが現在、策定を進めているNMPR v2.0では、IPネットワークを利用して通信されるデジタル家電間のコンテンツを保護する技術である「DTCP-IP」(Digital Transmission Content Protection over Internet Protocol)を追加する。DTCPはもともとIEEE1394が採用しているコピー制御技術で、これをIPネットワーク上でも利用できるようにする。NMPR v2.0は2004年9月のIDFで発表される見通し。各種ツールも2004年第4四半期中に発表するという。NMPR v2.0に準拠した最初の製品は2005年第1四半期にも登場するとインテルはみている。
(編集局 垣内郁栄)
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