低価格ブレードサーバを中堅市場に投入するIBMの狙い

2005/2/4

 日本IBMはブレードサーバのラインアップに、中堅・中小企業向けのパッケージ製品「IBM Express ポートフォリオ」に対応した新製品を追加したと2月3日に発表した。ブレードサーバの構成を同じにした場合、従来製品と比較して32%価格を下げた。ブレードサーバはデルや日本ヒューレット・パッカード(HP)などが相次いで新製品を発表するなど競争が激化している。IBMは低価格とユーザーの満足度を武器にシェアの拡大を狙う戦略だ。

日本IBMの執行役員 システム製品事業担当 出澤研太氏

 日本IBMの執行役員 システム製品事業担当 出澤研太氏は「2004年はIBMがサーバ、ストレージ市場でナンバー1だったと認識している。今年もナンバー1を維持したい」と2005年の抱負を述べた。IDC Japanの調査によると、国内ブレードサーバの2004年第3四半期の出荷台数シェアはIBMが42%でトップ。2位がHP(22%)、3位がNEC(18%)となっている。

 IBMが追加したのはIBM Express ポートフォリオに対応した「BladeCenter HS20 Epress」(モデル 8843-PCF)と「BladeCenter シャーシ Express」(モデル 8677-PBT)。2004年10月に発表したBladeCenter HS20の各モデルは、EM64T対応Xeonプロセッサの3.2GHz、3.6GHzを採用していたが、今回発表したBladeCenter HS20 EpressではEM64T対応Xeonプロセッサの2.8GHzを搭載し、価格を下げた。3.2GHzのXeonプロセッサを搭載したBladeCenter HS20は1枚のブレードが41万5000円(税別、以下同様)。一方、2.8GHzのXeonプロセッサのBladeCenter HS20 Epressは28万円となっている。

 また、BladeCenter シャーシと10枚のブレードの構成では、従来のシャーシと3.2GHzのXeonプロセッサを搭載したBladeCenterを組み合わせたケースでは539万1000円だが、BladeCenter シャーシ ExpressとBladeCenter HS20 Epressを組み合わせた場合の価格は369万円で、約32%安いことになる。プロセッサの周波数が異なるため価格を単純に比較することはできないが、低価格を打ち出すことで中堅・中小企業を取り込み、ラックマウント型サーバからのリプレースを推進する狙いがある。BladeCenter HS20 EpressとBladeCenter シャーシ Expressは2月9日に出荷する。

 IBMは同時に低電圧版のEM64T対応Xeon 2.8GHzプロセッサを搭載したBladeCenter HS20を発表した。同じCPU数の場合、1Uサイズのラックマウント型サーバと比較して消費電力を半分にできるという。価格は30万円。出荷は3月18日の予定。

 ブレードサーバが従来広く使われてきたのはハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)など高密度を生かした科学技術計算の分野。2004年秋以降、デルやHP、NECなどが相次ぎブレードサーバの新製品を発表しているが、いずれもビジネス分野での利用拡大を狙っている。低価格モデルを投入するIBMの狙いもビジネス分野での拡大にあり、ブレードサーバを「新しいEビジネスのためのインフラ」(日本IBM xSeries&IntelliStation事業部長 藤本司郎氏)にすることを目指す。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本IBMの発表資料

[関連記事]
「最重要製品の位置付け」、HP 新ブレード戦略の中身は (@ITNews)
デルが乗り越える「ブレードサーバが普及しない理由」 (@ITNews)
64ビット化と仮想化でエンタープライズ市場を制す、HP (@ITNews)
Express5800シリーズ一新、水冷式静音サーバなどを追加 (@ITNews)
IBMの新ブレードは「基幹系システムでの利用を加速」 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)