Acrobat 7.0は「出足好調」、PDFが狙う次の分野とは

2005/2/18

 「Adobe Acrobat」、サーバ製品などアドビシステムズのインテリジェント・ドキュメント事業が拡大している。ワールドワイドの売り上げに占める構成比率は2003年度に30%を超え、2004年度も32%を記録した。アドビはライセンス販売が多く、高い収益率を期待できるインテリジェント・ドキュメント事業を成長の核にする考え。アドビシステムズの代表取締役社長 石井幹氏は1月21日に発売した最新版の「Adobe Acrobat 7.0」について、「出足としては大変好調」と語り、企業に対してPDFのより高度な使い方を提案していく考えを示した。

アドビシステムズの代表取締役社長 石井幹氏

 アドビ製品の売り上げ全体に占めるライセンス販売の割合は2004年度に初めて30%を超えた。ショップなどで販売するパッケージ販売は年々下がっていて、2004年度には50%を割り込んだ。石井氏は「ライセンス販売は企業向けに一括で納めるため、部材コストがかからず収益増に結びつく」と語り、販売パートナーを中心としたチャネルのライセンス販売に力を入れる方針を説明した。

 アドビシステムズの2004年度(2003年11月29日から2004年12月3日)の売り上げは16億6700万ドルで過去最高だった。前年度比で29%の増収となった。純利益は前年度比69%増の4億5040万ドルで、石井氏は「高収益なビジネスモデルを実現している」と自賛。Acrobatと「Creative Suite」、コンシューマ向け製品の売上増が寄与した。

 インテリジェント・ドキュメント事業はデスクトップ製品のAcrobatと、サーバ製品の「Adobe LiveCycle」の2つで構成される。アドビのマーケティング本部長 沢昭彦氏はAcrobatについて「電子文書に対する盛り上がりや追い風があり、導入が進んだ」と説明した。2005年度は「AcrobatをPDFを作成するだけではなく、PDFを活用するビジネスツールであることの認知を高める」と述べ、電子政府に関する案件が続く官公庁や、社内外でドキュメントの複雑なワークフローを持つ製造業や建設業への導入拡大を図る方針を説明した。

 サーバ製品のLiveCycleは2004年、資源エネルギー庁、埼玉県庁など官公庁の大型導入が相次いだ。沢氏は「世界的に見ても先進的な使い方を実現しつつある」と述べ、2005年度も引き続き、電子申請ソリューションを官公庁向けに提案すると説明した。特に強く訴求したいのが、「Adobe LiveCycle Policy Server」を使った情報資産管理ソリューション。PDFに対して閲覧やプリントのアクセス権を設定できるサーバで、取引先にPDFを渡した後でも、そのアクセス権を変更できる。アドビは情報漏えい対策に利用できるとして官公庁や企業に売り込む考えだ。

(@IT 垣内郁栄)

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アドビシステムズの発表資料

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