ソニー、ICカード上でPKIの計算を行う

2005/3/4

 JRのSuicaや電子マネーのEdyなど、ICカードは生活の中で徐々に広がっているが、3月4日まで東京ビッグサイトで行われているICカードをテーマにしたイベント「IC CARD WORLD」で頻繁に見られたソリューションの1つは「企業の社員証ソリューション」だ。そのトレンドはどうやらPKI対応と多目的化である。

 FeliCaを展開するソニーは、FeliCaOSと同時にJavaOSも稼働可能なFeliCaカードを参考出品。従来JavaOSに対応していたベリサインのPKIをFeliCaカードに実装した。これでFeliCa独自の認証システムに加えて、PKI対応が必要なSSLやS/MIMEなどのアプリケーションの認証がFeliCaカードで可能になった。デモンストレーションでは、鍵の暗号化/復号化の計算などもすべてFeliCaカード内に格納したアプリケーションで演算されていた。カード内で演算が行われるためPCにウイルスや悪意をもった細工があっても不正な認証ができない点などがメリットという。

NTTコミュニケーションズはeLWISEカードによるソリューションを積極展開

 現在、企業などで入退出管理に使われているICカードはFeliCaカードが多いといわれているが、NTTコミュニケーションズは、非接触インターフェイス規格のISO14443 TypeBに対応したeLWISE(エルワイズ)カードを利用した社員証ソリューションを会場で紹介。セントラルファイナンス、積水化学工業、リコーなどでの入退出管理に使われている導入実績をアピールした。同社がeLWISEを展開する理由として「1MBのメモリ容量を備えているなど、多くのアプリケーションやデータを格納可能で将来への発展性がある」(担当者)からだという。

 そのNTTコミュニケーションズと共同でeLWISEの展開を推進している三菱電機は、eLWISE上でPKIを実装したソリューションを展示。ICカードを入退出管理だけでなく、PCにリーダーを接続し、改ざん防止のための電子署名などに使う。三菱電機のソリューションでは、カード内に電子証明書を入れておく。演算機能もカード内で実現されているという。

 現状では、Felica、eLWISEのほか、MIFARE(マイフェア:蘭フィリップスが開発した非接触ICカード規格)やそのほか独自仕様など複数のICカードが企業の社員カードなどとして使われている。セコムでは、こうした仕様が異なる複数の非接触型ICカードのすべて対応した入退出管理システムを開発。MIFARE、eLWISE、FeliCa、そしてセコム独自のICカードのいずれでも利用可能。管理用のPCの画面から、どの部屋に何人いるかといった入退出の状態がすべて把握できる。この入退出管理システムを勤怠管理のアプリケーションに結びつけるニーズも最近ではあるという。

(@IT 新野淳一)

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