将来は、ツッコミのできるロボットが子守りをする?
2005/3/17
NECは3月16日、パーソナルロボット「PaPeRo」に雑音下でも音声が聞き取れる能力や、手書き文字や動画像が分かる機能などを強化した新型「PaPeRo 2005」を開発したと発表した。あわせて、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの支援を受けて、子供とのコミュニケーションに重点を置いた「チャイルドケアロボット PaPeRo」も開発した。
ネットワーク連携機能を使い、自ら音楽を流しながら、3体で踊る「PaPeRo 2005」 |
音声認識機能では、本体に設置しているマイクを従来の4個から8個へ大幅増強したほか、耐雑音音声認識機能も強化している。NEC メディア情報研究所 所長 山田敬嗣氏は、「今回のPaPeRoは“実環境での機能強化”を念頭に置いて開発した。実環境ではテレビなどの雑音は避けられないし、相手の会話終了を待たずに話を挟むこともあるだろう」と指摘。これら“実環境”で起こり得る状況にも対応するために、ノイズキャンセラやPaPeRoが会話中であっても会話を受け付ける機能などが搭載された。ノイズキャンセラによって、雑音環境下における音声認識の誤りが3分の1程度に低下したという。
体にセンサーが埋められているため、触るだけでさまざまな反応を楽しむことができる。触った場所によって反応が違う |
そのほかにも、紙に書いた手書き文字を読み取る「文字認識機能」や、離れた場所の“手振り”を認識できる「手振り検出機能」、ほかのロボットと通信して連携を取れる「ネットワーク連携機能」などを搭載している。さらに、実際のコミュニケーションでは、会話だけでなく冗談も飛び出ることがあることから、芸人「ぜんじろう」とユーモア対話を共同研究し、ユーモアあふれる対話技術も習得。「長年利用していると、一辺倒な反応に飽きてしまいがちだ。しかし、このようなユーモアあふれる会話を習得したことにより、長年利用しても飽きないだろう」(山田氏)と自信を見せた。デモでは、ぜんじろう氏とPaPeRoによる漫才なども披露された。
また、チャイルドケアロボット PaPeRoは、PaPeRo 2005をベースとして子供とのやりとりや安全性に重点を置いたロボットだ。NEDOの「21世紀ロボットチャレンジプログラム」に採択されていることから、NEDOの委託事業として、3月25日より開催される「愛・地球博」で6カ月間にわたって一般公開する。一般公開では実フィールドからのさまざまなデータを収集することが目的だ。山田氏は「6カ月の期間中、さまざまな子供がPaPeRoに接し、想定外の事態も起こる可能性もある。それに対応するために、開催中も随時アップデートしていく予定だ」と語り、愛・地球博の一般公開を貴重なデータ収集の場であると説明した。
NECメディア情報研究所所長 山田敬嗣氏 |
PaPeRoの今後の展開としては、「チャイルドケアロボット PaPeRoなどの幼児教育における市場性を見極めていく」(山田氏)。また、山田氏は「人間と機械とのコミュニケーションを発展・展開していきたい」と語り、PaPeRoで培った人間と機械とのコミュニケーション能力やインターフェイス技術を情報家電などに流用していくなどの方向性も検討していることを明らかにした。
(@IT 大津心)
[関連リンク]
NEC報道発表資料
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