「Xenの2〜3年先を行く」、VMware新バージョンが登場
2005/4/15
ヴイエムウェアは4月14日、デスクトップ仮想化ソフトウェアの新版「VMware Workstation 5 日本語版」の販売を開始したと発表した。64ビットのホストOSに対応し、チーム開発の機能を強化したのが特徴。1台のハードで仮想的なマルチティアのシステムを構築し、テスト運用できるという。
VMware WorkstationはホストOS上に仮想環境を構築し、複数のゲストOSを稼働させることができる。サポートするホストOSはWindowsとRed Hat Linux、SUSE LINUX、Mandrake Linux。最新版では64ビットのWindows XPとWindows Server 2003 SP1を試験的にサポートした。64ビットのRed Hat Enterprise Linux 3/4、SUSE LINUX Enterprise Server 8/9にも対応した。64ビット拡張機能持つAMD OpteronやAthlon 64、Intel Xeon EM64Tもサポートする。ゲストOSにはWindowsとRed Hat、SUSE、Mandrake、NetWareなどが利用できる。
米ヴイエムウェアのアジアパシフィック担当 副社長 兼 ジェネラルマネージャー マイク・クレイビル氏 |
チーム機能の強化では、1つの画面上で各仮想環境の状態を確認できるようにした。プライベートLANセグメントの機能を追加し、仮想環境ごとにネットワーク帯域を設定できる。この機能を使うことでデータベースとアプリケーションサーバ、クライアントなど複数の階層をそれぞれの仮想環境に割り当てて、仮想的なシステムをVMware上で構築できる。プライベートLANセグメント内で各階層を通信させ、システムのパフォーマンスなどを実運用に近い形で検証可能。また、仮想マシンの起動や停止、サスペンド、電源管理なども一元管理できるようにした。
仮想マシンの状態を任意の点で保存する「マルチ スナップショット」機能を追加した。複数のスナップショットを保存することが可能で、アプリケーション開発のバージョン管理などに利用できるという。テスト、デバックの反復実行にも利用可能。仮想マシン環境を別の仮想マシンにコピーする「クローン」の機能も搭載し、1つの仮想マシン環境を複数のユーザー間で共有できる。
パフォーマンスも向上した。ヴイエムウェアのサーバ仮想化ソフトウェア「VMware ESX Server」が搭載しているメモリ共有機能を移植。複数の仮想マシンが稼働している状態でも、スムーズに動かすことができるようになった。
オープン価格だが、パッケージ版の標準価格は3万円。2004年12月15日以降に前バージョンの4.5を購入していたユーザーは無償でアップグレードできる。12月15日以前に4.xのバージョンを購入したユーザーは1万8000円でアップグレード可能。
デスクトップ向けの仮想化ソフトウェアはヴイエムウェア製品が高いシェアを持つが、最近はオープンソースソフトウェアの「Xen」など選択肢が増えてきた。米ヴイエムウェアのアジアパシフィック担当 副社長 兼 ジェネラルマネージャー マイク・クレイビル(Mike Clayville)氏は「ヴイエムウェアは、競合他社の2〜3年は先に行っている」と述べたうえで「オープンソースソフトウェアの重要性は認識しているが、競合製品が出てくることでヴイエムウェアの優位性が明確になるだろう」とした。
ただ、ヴイエムウェアのシニアシステムエンジニア 名倉丈雄氏は、「Xenのいいところも分かる。x86をサポートするヴイエムウェアと、x86以外も対象にするXenですみ分けることになるかもしれない」と話した。
デスクトップの仮想化技術をめぐっては、インテルがプロセッサ自体に仮想化技術を埋め込むことを計画している。「インテル バーチャライゼーション・テクノロジ」(VT)と呼ばれる技術で、2006年上半期にもVTを搭載したプロセッサが出荷される見通し。ヴイエムウェアはVTに対応した仮想化ソフトウェアの開発を表明している。名倉氏によると、仮想化ソフトウェアがVTに対応することで、「安定化、高速化が期待でき、ソフトウェアの開発スピードも向上する」という。
(@IT 垣内郁栄)
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