EMCがストレージ・ルータ投入へ、真の仮想化は実現するか

2005/4/19

 米EMCは異機種混在環境のネットワーク・ストレージを仮想化する新しいソフトウェア「EMC Storage Router」(ストレージ・ルータ、コード名)を2005年第2四半期(4−6月)に投入する考えを示した。ストレージの仮想化は単一ベンダの環境内では進んでいるが、異機種混在環境では決定的なソリューションが登場していない。EMCはストレージ・ルータの投入で、同社が推進する「情報ライフサイクル管理」(ILM)への取り組みを加速する。

米EMCのEMCソフトウェア 主席副社長 マーク・ルイス氏

 ストレージ・ルータの投入は、4月18日に会見した米EMCのEMCソフトウェア 主席副社長 マーク・ルイス(Mark Lewis)氏が明らかにした。ストレージ・ルータは、ターゲットをEMCプラットフォームだけでなく、主要ストレージベンダの製品に広げていることが特徴。サポートするストレージ・アレイはEMCのほかに、日立製作所、ヒューレット・パッカード、IBM。サポートするOSは、Solaris、Windows、Linux、AIX、HP-UX。VMwareにも対応する。ルイス氏は「ハードウェアがあるところに仮想化ありきと考えている。本当のユーティリティを実現するにはハードウェアとソフトウェアを切り離さないといけない」と話した。

 ストレージ・ルータはブロケードやシスコシステムズ、マクデータなどの主要SANスイッチの同等機能のAPI上に実装される。そのため顧客の既存環境にそのまま適用可能。ストレージ管理ソフトウェアも既存の製品を継続して利用できるといい、EMCでは投資を保護したまま、仮想化環境に移行できる点をアピールしている。ストレージ・ルータは当初は、ソフトウェアとSANスイッチを組み合わせた仮想化ソリューションとして提供されるが、パートナーとの協業によってはソフトウェア単体で提供することも検討する。

 EMCはストレージ・ルータの利用例の1つとして、ストレージの無停止運用を紹介した。アプリケーション稼働中に、障害が発生したストレージの特定ボリュームを別のストレージに移動する機能。ストレージ障害にかかわらず、サービス提供を継続でき、ダウンタイムの削減に結びつくという。ルイス氏は「インフラストラクチャの変更プロセスをアプリケーションに対して完全に透過的にする」と説明した。

 また、EMC傘下の日本ドキュメンタムはコンテンツ管理ソフトウェア「EMC Documentum 5.3」の販売を開始したと同日発表した。利用機能や規模によって異なるが、最小構成では1000万円程度の価格になる。ドキュメントの取り込み、変換、検索などコンテンツ管理の機能に加えて、ビジネスプロセスの自動化やコラボレーション機能、コンプライアンス対応、ポリシー管理など、ビジネスの視点での管理機能を追加したのが特徴。

 EMCは企業内のデータをその構造によって3つに分類している。ERPやCRMなどデータベースに格納する構造型データと、電子メールなどの準構造型データ、文書やWebページ、ビデオ、イメージなどの非構造型データの3つだ。EMC Documentum 5.3が管理するのは非構造型データ。ルイス氏は「企業が抱えるデータのほとんどは非構造型データ」と指摘したうえで、「EMC Documentum 5.3を活用すれば、生産的、具体的に情報の力を引き出せるようになる」と述べた。

 EMC Documentum 5.3では、メンバー間の情報共有機能やチーム作業用のワークスペース機能が追加。また、ビジネスプロセス管理(BPM)のために、モデリングツールやプロセスのモニタリング機能、サービス指向アーキテクチャの拡張機能なども加えられた。「Documentumプラットフォームを企業インフラとして捉えてもらうことを目指す」(ルイス氏)としている。

(@IT 垣内郁栄)

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日本ドキュメンタムの発表資料

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