数十%のコストを削減する、IBMのアウトソーシングサービス

2005/4/21

 日本IBMは4月20日、アウトソーシングサービスを体系化し、企業改革を目的とした業務受託(BTO:ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシング)サービスにおいて、「経理・財務(F&A)」「人事(HR)」「調達(Procurement)」の3分野でメニューを追加したと発表した。3月に発表したCRM向けサービス「オンデマンド・マーケティング・アンド・セールス・センター(ODMSC)」とあわせて4分野でサービスを提供していく。

日本IBM 常務執行役員 BTO事業担当 下野雅承氏
 IBMはルイス・ガースナー氏が1993年にCEOに就任して以来、従来のハードウェア販売などを中心にしたテクノロジ事業から、ビジネスコンサルティングサービスやアウトソーシングサービスなどのサービス事業に重心を変えていった。現在では、売上高の50%以上をサービス事業が占めるに至っている。特に、同社が2002年10月にプライスウォーターハウスクーパース(PwC)コンサルティングを買収したことによって、一層コンサルティングサービスが強化され、グローバルにおけるコンサルタントサービスの充実につながったという。

 また、同社では近年になって会長のサミュエル・パルミサーノ氏が「BPTS(ビジネス・パフォーマンス・トランスフォーメーション・サービス)」という概念を打ち出し、これに向かって事業ドメインを移行している。BPTSは、ビジネスモデルなどを提案する「戦略コンサルティング(S&C)」や、同社のSEや開発部隊がサポートする「エンジニアリング&テクノロジ・サービス(E&TS)」、IBMのソフトウェアを有効活用してビジネス効率の向上を図る「ビジネス・パフォーマンス・マネジメント(BPM)」、そして今回発表された「BTO」の4種類のサービスで成立している。

 日本IBM 常務執行役員 BTO事業担当 下野雅承氏は、「今後、主力4事業のBTOを推進していきたい。日本では2004年から提供を開始し、すでに7社に提供している」と述べた。BTOでは、経理・財務、人事、調達、CRMの4種類のサービスについて、過去1年間運用してきた経験からテンプレートを作成し、テンプレートを中心にサービスを提供する。具体的には、第一弾として、経理では「買掛金管理業務のアウトソーシング」、人事では「給与支払業務アウトソーシング」、調達では「購買BTOソーシング・パイロット」を提供する。

 下野氏によると、経理業務の50%以上は買掛金、売掛金、経費清算の3業務で占められているという。そのなかでも、まずは買掛金管理業務におけるアウトソーシングサービスを提供し、続いて売掛金や経費清算のサービスを提供していく。人事業務では、まずは給与支払業務から提供し、その後に保険管理なども提供していく予定だ。購買業務では、印刷業務のアウトソーシングから提供していく。

 これらのサービスでは、まずIBMが現状調査をして方針を検討し、詳細な業務設計と共同精査を行う。その後に契約し、業務移管・運用という流れとなる。同社によると、今回テンプレートを用いることによって、準備段階で約1〜1.5カ月、移行作業が約3カ月で完了するという。

 下野氏は、「当社にアウトソーシングしたからといって、100%の経費削減を保証するわけではないが、一般的な企業では2桁%の削減ができるのではないか。テンプレート化したことによって、中小企業でも利用する価値のあるサービスとなったのではないか」と語った。

(@IT 大津心)

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日本IBM報道発表資料

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