将来はカスタマイズなしのSAPワールドを、IDSシェアー

2005/4/26

 IDSシェアー・ジャパンは4月25日、同社主力製品ARISの新バージョン「ARIS 6 Collaborative Suite バージョン6.2.3」(以下ARIS 6.2.3)の発売を開始したと発表した。

 ARISは基本ツール「ARIS Toolset」、モデリングツール「ARIS Easy Design」、Webベースでのモデリングとパブリッシュを可能にする「ARIS Web Designer」「ARIS Web Publisher」など複数のソフトウェア製品からなるビジネスプロセス管理(BPM)製品スイート。ビジネスプロセスの設計から実装、モニタリングまでをサポートする。

ARIS for SAP NetWeaver(画面拡大
  今回のARIS 6.2.3はマイナーバージョンアップ版の位置付けだが、大きな変化としては、SAP NetWeaverと連携する「ARIS for SAP NetWeaver」の追加がある。ARIS for SAP NetWeaverは、ARISによるBPMシステムと、SAP NetWeaverによる企業システム基盤を統合し、ビジネスプロセス指向によるシステム実装やテスト、システムモニタリングを可能にする製品。

 IDSシェアー・ジャパン ARIS事業部 マネージャーの藤原玲子氏によると、「SAPソリューションを実装するエンジニアで何が一番大変かというと、SAP製品のパラメータが非常に多いので、顧客の要件に合わせて異なるモジュール同士を整合性のある形で設定しなければならない」ということだという。ARIS for SAP NetWeaverを使うことで、ARISのモデリングツールでビジネスプロセスを描き、SAP製品のどの機能を使うのかを選んでいくと、自動的にSAP Solution Manager(SAP NetWeaverのパラメータ管理ツール)で設定が完了する。逆にSAP Solution Managerで設定した場合も、ARIS側でも自動的にビジネスプロセスに反映され、双方向でのプロセス指向開発が可能になる。

IDSシェアー・ジャパン 代表取締役社長 力正俊氏

 IDSシェアー・ジャパンの代表取締役社長 力正俊氏は、同社とSAPとの関係について「ビジネスプロセスに基づいて、SAPワールドを構築する目的で、2003年10月から次世代BPMソリューションを提供するために協業している。R/3(最初のバージョンはR/1)が登場して25年ほどになるが、もともとビジネスプロセス・オリエンテッドで汎用性のあるERPパッケージだったが機能が肥大化する中、プロセスが崩れてきた。それを再度、ビジネスプロセス指向で新しく取り組もうというのがSAP NetWeaverの背景にあるコンセプト。SAPのアプリケーションは部品化され、それを組み立てる製品がSAP NetWeaverだといえる。IDSシェアーとの関係でいえば、IDSシェアーがビジネスプロセス側、SAP NetWeaverがそれを落とし込んでいく基盤という関係になる」としたうえで、その将来像について「(この新しいコンセプトのSAP製品は)まだ開発・発展中だが、現段階でカスタマイズが非常に難しい。今後、IDSシェアー、SAP両社製品の次のバージョンでは『カスタマイズ』という言葉が消えて『シナリオセッティング』と呼ばれるようになると考えている。単一のプロセスリポジトリを備え、ARIS上でビジネスプロセスを描画すると、勝手にカスタマイズが終わってしまう──そんな世界が来るのではないのではないかと考えている」と未来を語った。

 このほか、ARIS 6.2.3のモデリング機能ではBPMNへの対応を果たしている。これによって業務部門の人にも分かりやすいプロセス図を描画できる。BPMNで作成したビジネスモデルはXML、XMI、BPELなどにエキスポートして、システムの開発環境やビジネスプロセス実行エンジンに引き渡して実装に利用することができる。

 さらに、ARIS 6.2.3では対応プラットフォームが追加されている。データベース管理システムとしてはMicrosoft SQL Server Edition 2000に対応し、またIBM DB/2 V.8とOracle Database 10gに関しては要望に応じて対応するという。サーバとしてはSun Solaris 5.8、Windows Server 2003、IBM AIX 5L 5.1 SP4、HP UX 11.11に対応。このほか、「ARIS Web Designer」「ARIS Web Publisher」はJRE 1.4に追加対応している。

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IDSシェアー・ジャパン

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