IT投資で動物占い? HPが狙うウマ、ウシ型の中小企業とは

2005/5/18

 日本ヒューレット・パッカードは5月17日、セキュリティやモバイルビジネスなど中小規模の企業で求められるソリューションをまとめたパッケージの提供を柱とする、新しい中小規模企業向けの戦略「HP スマートオフィス 2005 夏」を発表した。HPが運営するオンラインショッピングサイト「HP Directplus」を活用。キャンペーンなどを組み合わせて、中小規模企業のIT投資意欲を喚起することを狙う。

日本HP コマーシャルビジネス統括本部長 山下淳一氏

 HP スマートオフィス 2005 夏で対象とするのはHPがボリューム製品と位置付けるPCやIAサーバ、プリンタなど。HPは中小規模企業向けに「セキュリティ」「データ保護」「モバイルでビジネス」「デジタルコミュニケーション」「業務効率化」のテーマを設定し、ハードウェア、ソフトウェアを組み合わせて「機器盗難防止」「データバックアップ」「ITで企業イメージアップ」など14のソリューションパッケージを開発した。価格は単純に製品を組み合わせた場合と比較して低額にしたという。「安くていいですよ、というメッセージを伝えたい」(日本HP コマーシャルビジネス統括本部長 山下淳一氏)。

 ソリューションパッケージはHPの他の製品と同様にパートナー経由で販売されるが、HPが力を入れたいのがHP Directplusでの販売。広告やネット上のキャンペーンで中小規模企業の担当者の関心を引き、HP Directplusで製品を紹介、販売することを目指す。山下氏によると、1999年に開始したHP Directplusは順調に成長。直近2年間の年率成長率は売り上げベースで40%以上だという。

 会見では米アクセス・マーケッツ・インターナショナル日本代表の稲村潤一郎氏が、国内の中小規模企業の現状について説明した。稲村氏によると、従業員が99人までの小企業は国内に160万社あり、年間のIT投資額は合計で1兆5000億円。従業員が100人から999人までの中堅企業は4万3000社で、IT投資額は2兆円。

 稲村氏は中小規模企業をIT投資の姿勢に応じて4つに分類した。大企業並みにIT戦略を策定し、実行している“ヒョウ”型の企業と、生産性の最適化とROIの最大化のために新しいIT投資を常に検討している“オオカミ”型の企業、質実剛健でコスト意識が高く、他社のIT導入を見てからでないと導入に踏み切らない“ウマ”型の企業、外部から要求されて初めてIT導入を検討し、外部の支援を必要とする“ウシ”型企業の4つだ。

 山下氏は「ヒョウ、オオカミなど肉食獣の企業にはリーチできている。しかし、ウシ、ウマの企業は需要を創出しないとうまくいかないだろう」と語ったうえで、「すべてのタイプの中小規模企業を狙うのが第一だが、次のステップとしてはIT投資への意欲が高くないウシ、ウマの企業にアプローチしたい」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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日本ヒューレット・パッカードの発表資料

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