中小企業金融サービスという金脈へ、ミロク情報と日立ソフト提携

2004/8/31

握手を交わすミロク情報サービス 代表取締役副社長の是枝周樹氏(左)と日立ソフトウェアエンジニアリング 執行役専務の山本章治氏(右)

 ミロク情報サービス(MJS)と日立ソフトウェアエンジニアリング(日立ソフト)は8月30日、中小・中堅企業向け金融関連サービスの共同事業化を盛り込んだ包括的な業務提携を結んだと発表した。今回の提携で両社は、互いのノウハウと顧客基盤を融合することで、事業領域の拡大を図り、市場の整備に目処がついた段階で、中小企業向け金融関連サービス事業を開始する予定。

 提携の柱は(1)両社の製品を組み合わせて複合ソリューション化し、中小・中堅企業を主要ターゲットとした統合基幹業務パッケージとして相互に販売すること、(2)MJSの財務・税務業務や会計事務所のノウハウと日立ソフトの業務パッケージや金融業向けシステム構築のノウハウを組み合わせることで、中小企業向け金融関連サービス(電子融資などを想定)を共同で開発すること、など。(2)については、2005年3月を目標に、MJSのユーザーである約8400の会計事務所の顧問先企業56万社に販売していく。

 両社の製品の複合化は、フロントエンド製品の強化やセキュリティ対策、基幹システム連携などいくつかのレベルで行われる。これらの施策で融合した新たな統合基幹業務パッケージは、日立ソフトおよびMJSのそれぞれの顧客に向けて販売される。

 製品の複合化や顧客基盤の共有という施策は、市場拡大という目的と同時に中小企業金融の新たな仕組みをビジネスとして立ち上げる、という目的の背景にもなる。e-Japan戦略IIの重点分野の1つに中小企業金融が挙げられるが、その中で政府は「与信方法の多様化や融資に関する手続きの簡素化により、中小企業の資金調達環境を改善」する必要があると述べている。また、現在、政府は紙での保存が義務付けられている文書などについて、電子的な保存を認める法律(e-文書法)を2005年4月をめどに施行する方向で検討を進めている。

 このような状況を鑑(かんが)み、両社は、国税庁認定のMJS電子証明書を利用した中小企業金融の資金調達サービスを検討し、無担保、非対面、完全電子化という条件をクリアした新たな金融サービスの開発を急いでいる。提携先の金融機関との交渉も開始しており、現在、メガバンク、地銀など5〜6行と接触している。

 中小企業向けファイナンスサービスについては、8月25日に発表されたあおぞら銀行と中央青山監査法人、弥生による、中小規模法人向けビジネス支援サイト「Biznavi」の開設や、東京三菱銀行とTKCによる医師・医療法人向けのWeb上のファイナンスサービス「TKC クリニック開業 ローン&リース」などがある。

(編集局 谷古宇浩司)

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ミロク情報サービス
日立ソフトウェアエンジニアリング

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