SOA導入の移行計画書を作成、SAPが支援プログラム

2005/5/19

 SAPジャパンは5月18日、同社が提唱するアーキテクチャ「Enterprise Services Architecture」(ESA)の導入を促進するために顧客企業に対してESA導入のロードマップを提供する「ESA アダプションプログラム」を提供開始すると発表した。ESA アダプションプログラムを展開するため、30人規模の専任組織「NetWeaver アドバイザリー・オフィス」を設置。既存顧客に対してESAのメリットを説明し、受注につなげる。

SAPジャパン バイスプレジデント ソリューション統括本部長 玉木一郎氏(左)と同社 NetWeaver アドバイザリー・オフィス NetWeaver アドバイザ 長船利彦氏

 ESAはSAPが2003年に発表したサービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づくアーキテクチャ。ESAを実現するための土台としてミドルウェア群の「SAP NetWeaver」も発表。既存アプリケーションのESA対応を進めている。「SAP/R3の後継バージョン『mySAP ERP』はSOAに対応させ、サービスを抽出できるようにした」(SAPジャパン バイスプレジデント ソリューション統括本部長 玉木一郎氏)。

 ESA アダプションプログラムは、ESA実現のためにSAPがそろえてきたミドルウェア、アプリケーションをサービスとして顧客企業に使ってもらうための「ガイド」だ。「道具はそろったが既存アプリケーションの対応などESA実現のための見通し、見極めがなかった」(同社 NetWeaver アドバイザリー・オフィス NetWeaver アドバイザ 長船利彦氏)。

 ESA アダプションプログラムは4つのフェーズがあり、顧客企業はそれぞれのフェーズを繰り返すことでESAを深めていく。第1のフェーズは「Discovery」の名称。3日間をかけてSAPのセールス、プリセールス担当者が顧客企業に対してESAとNetWeaverを説明する。経営戦略とIT戦略の同期をとるために必要な施策をSAPと顧客企業の担当者が議論し、ハイエンドなロードマップを作成する。Discoveryフェーズで作成するロードマップは「概念レベル」(長船氏)で、企業の長期的な方向性を示す内容になる。Discoveryフェーズの利用は無償。

 第2フェーズの「Evaluation」では、SAPのコンサルタントと企業の担当者が、業務やIT要件を深く議論し、ESAの実際の移行計画書を作成する。ESAを実現するために行うべき今後3年間のプロジェクトやスケジュールを、SAP製品の今後のロードマップも含めて提示する。作成期間は20日程度で利用は有償。成果物として170ページほどのPowerPointファイルを提出する。

 第3フェーズの「Implementation」、第4フェーズの「Operations」はSAPがパートナーと協力して提供してきたシステム構築、サポートサービスと基本的に同じ内容。ESAを実現し、運用するフェーズになる。SAPジャパンでは2005年末までにESA アダプションプログラムを既存顧客の30社に導入することを目指す。

 SOAが本格化する時代にはソフトウェアベンダもビジネスの考え方を変えることが求められる。玉木氏は「基本的なビジネスモデルは変わらない。しかし、提供するアプリケーション、ソリューションの在り方は変わっていく」と述べた。「ソフトウェアベンダはこれまで、自動車でいえば完成品を提供してきた。これからはモジュール化されたパーツ全体の塊を提供し、顧客やパートナーが柔軟に組み上げていく」。

 また、玉木氏はSOA時代のパートナーのビジネスについても「カスタマイズやアドオンで収益を挙げるのではなく、顧客のビジネスにインパクトを出していくことで収益を挙げるようになる」と述べ、パートナービジネスの変化を予測した。

(@IT 垣内郁栄)

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SAPジャパンの発表資料

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