SAPがEAI市場の開拓を宣言、「SAP XI」で殴りこみ
2004/10/27
SAPジャパンは10月26日、EAI/BPMソフトウェア「SAP Exchange Infrastructure」(以下SAP XI)の最新版「SAP XI3.0」の出荷を開始した。ERPソフトウェアである「SAP R/3」を中心に企業のバックエンドを統合する戦略をかつてとっていた同社は、SAP XI(を含むNetweaver製品)をシステム統合の中心とする方向へと戦略を大きく転換。SAP XI単体でシステム統合を行う顧客向けの価格体系も新たに用意し、EAI/BPM市場の開拓に本格的に乗り出す。
SAPジャパン ソリューション統括本部 ソリューションマーケティング本部 NetWeaverディレクター 菅沼隆太氏 |
SAP XIの新しい機能として今回加わったのがBPM機能。従来からのEAI機能でアプリケーションごとの接続を実現したうえで、ビジネスのワークフローをBPM機能で定義できるようになった。例えば、SAPアプリケーションで行った受注処理に続き、SAP XI経由でメインフレーム上のレガシーアプリケーションを呼び出して与信チェックを行い、問題がないときにはSAPアプリケーションで在庫確認と出荷を行う。こうしたビジネスプロセスをSAP XIで定義・実行する機能を備える。
ビジネスプロセスの定義は、画面上にアイコンをドラッグ&ドロップで貼り付けてビジュアルに行う。また、プロセスの実行がどこまで進んでいるのか、それぞれの処理が正常に進んでいるのか、といったモニタリングもSAP XIの画面上で行える。「SAP XIはSAPアプリケーションとの親和性が高く、システム全体のモニタリングなど含めた運用管理ができるようになっている。そこに競争力があると考えている」(SAPジャパン ソリューション統括本部 ソリューションマーケティング本部 NetWeaverディレクター 菅沼隆太氏)。
さらに、SAP XIはハイテク業界の標準BtoBプロトコルのRosettaNetや、化学業界のBtoBプロトコルCEDI/CIDXなどにも対応。Non-SAPアプリケーションの統合の機能も十分に備えている。「今日この日をもって、Non-SAP対Non-SAPのEAI市場も開拓していく」(菅沼氏)と、同社にとって新たな市場開拓を行っていくとした。
SAP XIは、同社の統合アプリケーションプラットフォームであるNetWeaverの一部でもある。NetWeaverは、アプリケーションサーバ「SAP Application Server」を中心として、SAP XI、BIツールの「SAP BW」や「SAP Enterprise Portal」などを含むソフトウェアスイート。「つなぐというニーズにはNetweaver全体で応えていく」という位置づけのプラットフォームで、SAPのオープン戦略の要だ。SAP XIがEAI/BMPツールとして市場にどれだけ浸透できるかは、NetWeaverと同社の戦略の進捗にとって1つの試金石になることだろう。
(編集局 新野淳一)
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