SOA環境の運用管理に必要なこと、SAPとHPが提案
2005/6/28
SAPジャパンと日本ヒューレット・パッカードは、SAPのSOA基盤「SAP NetWeaver」環境でのITインフラの運用管理事業で協業し、10人規模のプロジェクトチームを発足させると発表した。異機種混在環境でさまざまなITインフラが結合するSOAでは、「ビジネス・プロセスとITインフラを相互に見る関係性が重要になる」(SAPジャパン バイスプレジデント ソリューション統括本部長 玉木一郎氏)というのが協業の根拠。両社はプロジェクトチームで運用管理の検証を実施。運用管理サービスの先行導入企業を募り、サービスの質を高めていく。
SAPジャパン バイスプレジデント ソリューション統括本部長 玉木一郎氏 |
玉木氏はSOA環境での運用管理について「個別のシステムだけでなく、ビジネスプロセス全体を意識する必要がある」と指摘した。異なるシステムを統合してサービスを提供しているSOA環境では、あるプロセスのパフォーマンスが劣化したとき、劣化の原因を探るのは困難。「ビジネスプロセスごとに監視データが集約されておらず、運用のアクションが変化に追従できない」(玉木氏)。そのためSOA環境の運用管理は、「インフラをまたがって構築する必要がある。そして着眼点はビジネス側になければならない」。
SAPは、SAP NetWeaver環境の運用管理ツールとして、「SAP Solution Manager」を用意している。しかし、Solution Managerは基本的にSAPのアプリケーションが対象で、「非SAP、インフラ全体の監視には不十分」(玉木氏)。そのため、SAPが求めていたのが外部の運用管理ツール。まず連携を始めたのが製品開発でグローバルに連携しているHPの「OpenView」だった。SAPは「SAP NetWeaverとOpenViewは双方向の監視データの連携が可能。また、ビジネスプロセスごとに監視データを集約整理でき、監視を最適化できる」としている。
OpenView自体はITリソースの管理やネットワーク管理、アプリケーションレベル管理と広範な製品を持つが、HPがSAPとの協業で注力したいのはビジネスプロセスのパフォーマンス監視を行う「HP OpenView Business Process Insight」(BPI)。BPIはビジネスプロセスの各フローを可視化。フローごとの処理時間を監視することができ、ITILに基づき設定したサービスレベルに違反すると、警告を出す。また、各フローでのバックログの件数や金額をリアルタイムに把握可能で、障害発生時の影響をビジネスの観点からコストとして試算できる。
日本HPのソフトウェア統括本部 統括本部長 今野芳弘氏は、「OpenViewの障害情報などをSAP Solution Managerに送って、ビジネスプロセス全体の監視が可能になる」と述べ、SAPとHPの双方向の連携を強調した。
両社は7月中にプロジェクトチームを立ち上げて、SOA環境での運用管理の検証をスタート。9月下旬からは先行導入する企業の募集を開始する計画だ。
(@IT 垣内郁栄)
[関連リンク]
SAPジャパンの発表資料
日本ヒューレット・パッカードの発表資料
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