Google Mapsでうれしい追い風、Oracle LBSの新版出荷

2005/7/5

 日本オラクルは7月4日、データベースに保存してある顧客情報や在庫情報、店舗などの位置情報と、地図を組み合わせて活用するための開発基盤「Oracle Location-Based Services フレームワーク」(Oracle LBS)のバージョン2.0を出荷開始した。新たに図形描画の機能を追加した。日本オラクルでは「Google Mapsの開始もあり、地図サービス市場はいま非常に注目されている」と市場の広がりに期待している。

Oracle LBS バージョン2.0の新機能を活用したNECシステムテクノロジーの「ULTRAFIX」。最適な配送経路を赤の線で地図上に描画する。(クリックで拡大します)

 日本オラクルのアドバンストソリューション本部長 林徹氏は「Google Mapsのおかげで地図サービスへの興味が増し、Oracle LBSについての問い合わせも増えている」として「本音ベースでうれしい」と述べた。問い合わせをしてくる顧客は、配送管理や情報検索、営業支援などの業務システムと地図サービスを組み合わせたいというニーズが多いという。

 サービスとして地図を提供し、地図内の情報しか検索できないGoogle Mapsと異なり、Oracle LBSは地図とデータベースの情報をリアルタイムに表示し、業務システムに連携させることができる。「Oracle LBSのターゲットはエンタープライズ市場」(林氏)で、見た目は似ていても、根本的な立ち位置が異なっているといえる。

 Oracle LBSは日本オラクルが独自に開発した。Oracle Databaseに格納した顧客や店舗などの位置情報、売り上げデータ、財務情報と、アプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)が配信する地図データをOracle Application Server上の「マップキャッシュサーバ」で組み合わせて、クライアントのWebブラウザに表示する。Webブラウザ上では顧客や店舗の位置、顧客ごとの財務データなどデータベースの情報が地図上に重なって表示される。

 Oracle LBSはマップキャッシュサーバと地図情報を表示するための「クライアント・ライブラリ」をフレームワークとして提供。地図配信ASPなどパートナー企業のサービスを組み合わせることで、平均3カ月と短期開発を実現している。地図配信ASPのパートナー企業は、インクリメントP、マピオン、昭文社など14社。

 Oralce LBSのバージョン1.0がリリースされたのは2003年9月。NECシステムテクノロジーやKDDI、キヤノン販売などがOracle LBSを組み込んだり、連携させたソフトウェアを販売している。バージョン2.0では地図上にデータベースから読み込んだポリゴンや線、円などの図形を描画できるようにした。NECシステムテクノロジーは新機能を活用して、配送計画支援システム「ULTRAFIX」に、最適な配送経路を描画する機能などを追加する予定。伊藤忠テクノサイエンスも新機能を使い、地図上の特定のエリアを塗りつぶして、エリア・マーケティングに活用する仕組みを計画している。

 Oralce LBS自体は無償で提供する。日本オラクルはOralce LBSの利用に必要なOracle Database、Oracle Application Serverの販売で収益を上げる。

(@IT 垣内郁栄)

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日本オラクルの発表資料

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