富士通、インテグレーション体系をSOAで刷新

2005/7/13

富士通 経営執行役常務 プロフェッショナルサポートビジネスグループ長 平田宏道氏

 富士通は7月12日、サービス指向アーキテクチャ(SOA)の考えに基づいた製品・サービス体系を発表した。企業の基幹システム構築を担う同社の既存製品およびサービス群を“SOA仕様”に再構成した。従来から提供してきた「業務改革コンサルティング」や「投資効果分析コンサルティング」をSOA仕様システム構築の最上流サービスと位置付け、ここで得られた分析結果をもとに、既存システムのSOA対応を図る。

 課題は、業務プロセス分析やビジネスモデリングなどシステム開発における上流のスキルを持った人材の育成だ。富士通 経営執行役常務 プロフェッショナルサポートビジネスグループ長 平田宏道氏によれば「スタッフを(上流工程に)シフトすることで、富士通自身を変えていかなければいけない。上流工程の失敗がSIビジネスを失敗させる大きな要因だ」ということで、SOAをキーワードに同社の体質改善をも図る意気込みをみせた。

 SOA実現の中核を担うサービスバスの部分は、同社のミドルウェアInterstageを改良した「Interstage V7エンハンス」(2005年第3四半期リリース予定)が担当する。この実行基盤に対し、「GLOVIA」や「WebSERVE」といった同社の基幹業務パッケージ群をサービスバスを経由したデータ連携が可能なように最適化を施した(それぞれ2005年第4四半期にリリース予定)。これらの基盤製品と業種別のテンプレートをパッケージにした「SOA開発ソリューション」も用意する。当初は、電力・ガス・通信キャリア向けの「社会基盤向けSOA開発ソリューション」と製造業や流通業向けの「産業流通向けSOA開発ソリューション」を2005年第2四半期にリリースする。金融、医療、自治体向けなどのパッケージを随時追加していく予定。なお、業務プロセスをモデリングし、サービスを設計するなど、システム全体の青写真を作成するための方法論として、同社がこれまで提供してきた「SDAS/Service Modeling」も今回のSOAサービスの新体系に盛り込まれる。

 富士通におけるシステムインテグレーション分野(ソフトウェア開発、ITインフラストラストラクチャ開発を含む)の売り上げ規模はおよそ2.2兆円。平田氏は、SOA対応によるコンポーネントベースのシステム開発手法が、2.2兆円の売り上げをさらに押し上げる効果を持つと期待を寄せている。ただし、前述したように、システム・インテグレーション分野では、企業のビジネス状況を分析し、システム設計を行えるスキルを持ったエンジニアが求められている。SOAの考えに基づいたシステム構築手法が一般的になればなるほど、このニーズは高まるだろう。

(@IT 谷古宇浩司)

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富士通の発表資料

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