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「Oracle 10g Release 2」が登場、注目はSOA対応

2004/12/9

 米オラクルは12月7日(米国時間)、主要製品のバージョンアップ版「Oracle Database 10g Release 2」「Oracle Application Server 10g Release 2」「Oracle Enterprise Manager 10g Release 2」を2005年中ごろに出荷すると発表した。Release 2の目玉はサービス指向アーキテクチャ(SOA)の対応。特にOracle Application ServerはSOA対応機能を大きく打ち出している。オラクルは「Oracle Application Serverは役割を大きく変える」としている。

米オラクルのオラクル・サーバー・テクノロジー部門 バイス・プレジデント トーマス・クリアン氏

 米オラクルのオラクル・サーバー・テクノロジー部門 バイス・プレジデント トーマス・クリアン(Thomas Kurian)氏はOracle Application Server 10g Release 2について「SOAの考えに基づき、モジュラーサービスとしてビジネス・アプリケーションを開発できる。さらにビジネス・アプリケーションを稼働するためのインフラを構築するミドルウェアを、技術的に統合したスイートとして提供する」と説明した。

 Oracle Application Server 10g Release 2はJ2EE1.4に準拠し、「WSIF」「WS-Reliability」「WS-Security」などの標準技術をサポートする。異なるシステムをビジネス・プロセスに統合する機能として「Oracle BPEL Process Manager 10g」を新搭載し、企業の情報統合を支援する。ビジネスのパフォーマンスを管理する機能として「Business Activity Monitoring」も実装する。

 Oracle Application Server 10g Release 2はSOA機能で先行する「BEA WebLogic」や「IBM WebSphere」と競合することになる。クリアン氏は「オラクルは技術的にWebLogicの先を行っている。WebSphereについては、各ミドルウェア同士は疎結合で、管理を別々に行わなければならない不便さがある。Oracle Application Server 10g Release 2はスイートとして各コンポーネントが密に結合されている。統合が容易でコンポーネントの組み合わせによって付加価値を出せる」と述べた。

 クリアン氏はまたOracle Application Server 10g Release 2のグリッド機能を利用することで、アプリケーションをサービスとして利用する方法が容易になると説明し、「アプリケーションやサービスを開発するときは、Oracle Application Serverで導入し、グリッド・アーキテクチャで実行し、Oracle Enterprise Managerで管理するのが最適なシステム構成だ」と述べた。

米オラクルのデータベース・サーバー・テクノロジー部門 シニア・バイス・プレジデント アンディ・メンデルソン氏

 Oracle Database 10g Release 2はストレージ管理の機能が大きく強化された。Oracle Databaseのパーティショニング技術を活用し、データのビジネス上の価値に応じて最適なストレージに格納する「Business ILM」を打ち出した。また、ストレージ管理機能の「Automated Storage Management」を拡張。米オラクルのデータベース・サーバー・テクノロジー部門 シニア・バイス・プレジデント アンディ・メンデルソン(Andy Mendelsohn)氏は「Oracle Database 10g Release 2ではデータベースとストレージの中間のミドルウェアをなくして、ASMで直接ストレージをコントロールできるようにした」と説明した。

 「XML Query」もメジャーなデータベースとしては初めてサポートする。Oracle Database 10g Release 2では全体のパフォーマンスも向上し、特にソート処理の速度がアップしたという。

 メンデルソン氏はOracle Database 10gについて「すでにOracle9iの顧客の8%がアップグレードした。今後10gに移行する顧客のうち、Release 1にアップグレードするのは15%。大部分の顧客は直接Release 2にアップグレードするだろう」と予測した。

 Oracle Enterprise Manager 10g Release 2はグリッドの管理機能「Oracle Grid Control」にアプリケーションのサービスレベルを監視し、最適化する「Service Level Management」を追加した。標準化されたグリッド環境のうえでポリシーベースのサービスレベル管理が可能。アプリケーションの診断、最適化、レポーティングの機能を持つ。システムの状況を一元的に把握できるダッシュボード機能も強化され、管理者の業務に応じて必要な情報だけをWebページとして出力できるようにした。システム構成やサービスを視覚的に表示し、簡単に管理できる「Topology Visualization」もOracle Grid Controlの機能として追加した。

 Release 2では検証済みのOSやデータベース、クラスタサーバなどの組み合わせを格納する「イメージ・ライブラリ」機能も追加された。システムに新しいサーバを加える際には、このイメージ・ライブラリが参照され、自動的に最適なシステム構成がインストールされる。リソースの柔軟なプロビジョニングを支援する。

 また、Oracle以外の製品サポートも拡張した。「IBM WebSphere」(Version 5.0以降)と「BEA WebLogic」(Version 7.0以降)の管理機能を強化し、これらのアプリケーションサーバのうえで稼働するアプリケーションやミドルウェアのパフォーマンス情報を入手できるようにした。米オラクルのシステム・マネジメント・プロダクト部門 バイス・プレジデント ジェイ・ロシター(Jay Rossiter)氏は「Release 2ではヘテロジニアス環境のストレージ、ミドルウェアのサポートを強化した。OEMはオラクルのエコシステム全体を管理する」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

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