ボーダフォン、ターゲットユーザーを絞ってドコモに対抗

2005/7/13

 ボーダフォンは7月12日、報道関係者向けに会見を行い、同社の今後の方針を説明した。同社代表執行役会長 津田志郎氏は、同社の現状を「1位、2位の会社に離される一方だ」と分析。「依然厳しい状況ではあるが、純増を維持して追撃態勢を整えたい」と今後の方針を示した。

ボーダフォン 代表執行役会長 津田志郎氏
  契約者の減少やARPU(Average Revenue Per User)の低下など、業績低迷が続くボーダフォン。このような厳しい現状を受けて、2004年12月にはNTTドコモ元副社長の津田氏を社長に迎えている。さらに2005年4月には、津田氏が会長職に、Vodafone UK社長を務めるビル・モロー(Bill Morrow)氏を社長に迎える新人事を実施し、経営の一新を図った。

 津田氏は、まず7月7日に発表された2005年6月度の携帯電話の契約者数について、「半年振りに純増に転じて、まずは素直に喜んでいる。しかし、上位2社との差は大きい。当面は純増を維持することが目標だ」とコメント。一方で契約者数が1500万人を割った点については、「非常に問題だ。純増を維持して、一刻も早く1500万人を回復したい」と述べた。

代表執行役社長 ビル・モロー氏
  また、新社長のモロー氏は、厳しい現状を踏まえた新たな政策として、「顧客」「ビジネスパートナー」「社員(ボーダフォン)」「株主」という4種類のステークホルダーを意識していくという方針を示した。サービス面では、「セグメントを絞る」と繰り返し強調。他社が実施しているSuica搭載などの機能強化は行うとしているものの、「音声やメールといったメッセージングサービスに注力したい」(モロー氏)といった方向性を示した。また、「友達や家族」をターゲットにした、「家族通話定額」や「メール定額」といったサービスを今後も強化していくとしている。

 そのほかの施策としては、ホールセールの強化や「固定電話と携帯電話の融合」「競合他社に匹敵する3Gネットワーク構築のための投資」などが挙げられた。固定電話との連携では、固定電話会社との提携なども視野に入れているという。モロー氏は、「ターゲットユーザーは4〜5つに分けて考えているが、よりコアなターゲットは19〜28歳くらいのユーザーだろう」と語った。また、津田氏は「いままでは経営陣がうまく機能していなかった。Felica機能搭載携帯電話は秋以降に出すが、2006年1月開始予定のモバイルSuicaには間に合わなくても良いと考えている」との考えを示した。

(@IT 大津心)

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