“PLMはもはやビジョンではない”〜シャーレス氏

2005/7/21

 日本IBMとダッソー・システムズは7月19日、PLM関連イベント「2005 JCF」を名古屋で開幕した。イベント会場では、ゼネラル・セッションやユーザー事例などの各種講演や、カンファレンス出展企業各社によるPLM製品の展示/デモンストレーションが行われている。会場では、仏ダッソー・システムズ CEO兼社長 ベルナール・シャーレス(Bernard Charles)氏が報道関係者向けに説明会を実施した。

ダッソー・システムズ CEO兼社長 ベルナール・シャーレス氏
 シャーレス氏は、米ボーイングの次世代主力旅客機「787」に同社製品が採用されている事例を出し、「787の開発は、製造業においても最大級の規模だろう。ボーイングは設計・開発に当社のPLMソリューション『CATIA V5』を採用し、300以上のサイトで利用している」と説明。「この事例は、“PLMは大規模事業でもキチンと機能する”という良い例である」と強調した。

 また、「PLMはもはやビジョンではない。ミッションクリティカルにも必要なものとなっている」と語り、従来の設計や開発分野だけではなく、マーケティングや販売といった複数のレイヤにまで影響を及ぼすものになってきていると表現した。実際にダッソー・システムズは5月、非線形構造解析で有名なABAQUSを4億1300万ドルで買収。シミュレーション分野に進出している。この点についてシャーレス氏は、「シミュレーションは想像力を補佐し、設計などの経験不足を補うことができる。ABAQUSを買収したことによって、次世代のシミュレーションツールを提供したかった」と説明した。

 さらに、3Dイメージを簡単に操作できる3Dビューワ「3D XMLプレイヤー」を無償で提供。開発や設計で作成した3Dイメージをビューワ上で容易に視点を上下左右に移動しながら閲覧できる。また、3D XMLプレイヤーとMicrosoft Officeシリーズとの連携も可能。WordやExcel上から3Dイメージを操作することもできるようにしたいとした。シャーレス氏は、「このような、ライフサイクルを簡単にイメージできるようなツールや、3Dの威力を提示する場をどんどん提供していきたい」と述べた。

 最後にシャーレス氏はPLMの今後の課題について、「最大の課題は“PLMとは何か?”“PLMは効果があるのか?”という基本的な問題から、啓もうしていかなければならない。特に中小企業には知ってもらいたいと思っている」と説明した。

 また、日本IBMとダッソー・システムズは、ライオンが洗剤容器などの開発過程に、日本IBMとダッソー・システムズのPLMソリューションを導入したと発表した。従来、ライオンでは設計や解析に複数のツールを利用していたが、CATIA V5を採用してこれらのデータを一本化したという。これにより、ツール間のデータの受け渡しで生じていた不具合の解消やデザインの早期検討段階における3Dプレビューが実現したとしている。ライオンでは、今回の採用によって、試作作成時間の50%短縮と容器開発個数の50%削減を見込んでいるという。

(@IT 大津心)

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2005 JCF

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