「アウトソーシングを見直す」、NECグループの決断

2005/7/26

NEC マーケティング推進本部 本部長 藤岡忠昭氏

 NECは7月25日、アウトソーシング事業の体制を再編すると発表した。同社のアウトソーシング事業を展開してきたマネージドサービス事業推進本部にコンサルティング部門などの社内リソースを統合し、約500人の体制とする。さらに同本部を中核として、NECグループ約2000人のアウトソーシング事業体制も見直す。今回の体制再編により、アウトソーシング事業で2008年度1500億円の売上高を目指す。

 社内で分散していたコンサルティングサービスとマネージドサービスの事業領域を統合することで、戦略策定からアウトソーシング事業の実務まで一貫したサービスを提供できるようになる。それぞれの領域で新たに追加したメニューがある。特にコンサルティング領域では、TCO診断やITIL診断といったITプロセスの成熟度を測る診断サービスを追加する。また、米SunGardのコンサルティング手法を導入し、自然災害などの不測の事態でも事業の継続性を実現できるノウハウを提供する。

 同社では、2002年度から2005年度にかけて、NECグループ全体のIT運用コストを25%削減するための施策を展開している。今回のアウトソーシング事業の強化は、同社自身による大規模システムの運用ノウハウに加え、従来から提供してきたアウトソーシングビジネスにおけるガバナンスの成功例に基づいたものとされる。なお、NECネクサソリューションズ、NECソフト、NEC情報システムズ、NECシステム建設、NECフィールディングなど、独自にアウトソーシング事業を展開しているグループ企業との連携に関する詳細は今後詰めていくことになるが、大規模案件についてはNEC本社のマネージドサービス事業推進本部を窓口とし、小規模案件については、従来どおりに各社が独自に推進していく方向である。

 NECのアウトソーシング事業は、アプリケーション資産やネットワーク、サーバおよびストレージ環境といったいわゆるITインフラストラクチャの効率化だけを視野に置いている。ただし、アウトソーシング事業の領域には、通常、ITインフラの最適化だけではなく、企業の事業をITで変革するBPO(Business Process Optimization)事業の関係する。同社の現在の体制では、ITインフラ部分のアウトソーシング事業を展開するマネージドサービス事業推進本部とBPO事業を行う部署は分かれており、密接な連携は今後の課題である。

(@IT 谷古宇浩司)

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NECの発表資料

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